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借金500億円の“姫路のトランプ”、銀行取引停止処分でさらなる窮地に

金融機関20行から500億超の借り入れ

「債権を回収するのは金融機関にとって当然の権利ではあります。しかし、競売での売却はいわば叩き売り。安く売らせるよりは事業再建の手助けをしてくれてもいいのではないかと私は訴えたいのです。金融機関……とくに信用金庫・信用組合はその地域の経済発展や組合員に対して相互扶助のための役割をもっているはずなのに、この仕打ちはあまりにもひどいです」  大川氏はそう訴える。氏の会社の取引金融機関は20行にものぼるが、うち、手のひら返しをしているのは、ごく一部。その金融機関は、大阪府大阪市中央区本町に本店を置く大阪商工信用金庫。大阪府大阪市中央区淡路町に本店を置く近畿産業信用組合。大阪府大阪市北区に本店を置くミレ信用組合。 【大川氏借入一覧】2019年12月現在 兵庫信用金庫 最大/約7億2400万円 残高/約4億5700万円 大阪信用金庫 最大/約40億円 残高/約26億9700万円 兵庫県信用組合 最大/約8000万円 残高/約6200万円 但馬信用金庫 最大/約4億円 残高/約3億1500万円 兵庫ひまわり信用組合 最大/約7億7000万円 残高/約6億6500万円 JFC 最大/約13億7600万円 残高/約13億4200万円 大阪厚生信用金庫 最大/約170億円 残高/約128億6200万円 淡陽信用組合 最大/約2億8000万円 残高/約1億3300万円 みなと銀行 最大/約5億5900万円 残高/約4億7300万円 大阪協栄信用組合 最大/約2億50000万円 残高/約1億42400万円 近畿産業信用組合 最大/約60億円 残高/約32億7400万円 播州信用金庫 最大/約6億1200万円 残高/約5億2000万円 西兵庫信用金庫 最大/約3億2500万円 残高/約2億1000万円 関西みらい銀行 最大/約24億7000万円 残高/約21億7600万円 三井トラスト 最大/約3900万円 残高/約3400万円 三井住友銀行 最大/約13億5100万円 残高/約12億1700万円 ミレ信用組合 最大/約14億2500万円 残高/約13億円 オリックス銀行 最大/約2億9000万円 残高/約2億6700万円 大阪商工信用金庫 最大/約12億8500万円 残高/約12億1500万円 京滋信用組合 最大/約3億円 残高/約2億7400万円 大同信用組合 最大/約9億8000万円 残高/0 大阪シティ信用金庫 最大/約6500万円 残高/約4590万円 その他 グループ最大/借入額 計508億円

金融期間は雨の日に傘を取りあげる

「物件があれば家賃が入ってきますし、家賃が入れば支払いができます。しかし、物件を取り上げられてしまえばお金を返すことができません。近畿産業信用組合は4月末、ミレ信用組合は8月に自分のお客さんに好条件の融資を付けて私の物件を売らせました。さらに同じ8月に大阪商工が競売の執行を言い渡してきました」  よく「金融機関は晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘をとりあげる」と言われるが、まさにその通りの仕打ちを受けているという大川氏。このような強硬手段に出る金融機関がある一方で、そのほかの金融機関は事態を静観している。 「私の事業が思わしくないのは事実です。しかし、そんなときほど手を差し伸べてくれても良いのではないでしょうか。そもそも貸した側には貸付責任はあります。このようなやり方をされては、立ち直れる事業も潰されてしまいます。どうか、私から物件を奪うようなことをせず、リスケなど条件変更といった形で対応いただきたいです。また内閣総理大臣は企業を潰すことはないといいながら、実際には金融機関が引き金になり市税、府税、県税が追随しています。それは違うのではないでしょうか!」  金融機関ばかりか税金の支払いにも追われる大川氏。この悲痛な思いは金融機関・行政に届くのだろうか。 大川護郎氏 実業家。1972年兵庫県生まれ。姫路市に育ち、小学生のときに親の会社が経営破綻、貧困生活を送る。16歳で新聞販売店に就職。23歳のときにコツコツ貯めたお金で不動産投資を始める。以降、24年で所有不動産を増やし続け最盛期の2018年には296棟5008世帯、家賃収入を含めた総年間収入が50億円までになる。当時はスーパーカーを22台所有。近年、全国のセミナーなどで「ゼロ家賃」構想を発表し、大反響を浴びる。著書に『新聞少年が一代で4903世帯の大家になった秘密の話』『「家賃ゼロ賃貸」構想が日本の常識を変える“姫路のトランプ”と呼ばれる不動産王の発想力』がある。
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