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空室だらけの投資物件に2億円…“スルガ地獄”に堕ちた不動産投資家の生還劇

KENJI

KENJI氏

身も心もボロボロだったリーマン生活

 サラリーマン向けの副業として、人気のある不動産投資。月々数万円程度の副収入はもちろん、融資を使ってレバレッジをかけることで、より大きなキャッシュフローを得られる可能性がある。しかし、レバレッジによるリターンが期待できる一方で、リスクも大きくなることを自覚していないサラリーマン投資家も多い。 「サラリーマンを辞めるために不動産投資で成功するはずが、まったく逆のことをしてしまいました。失敗に自覚した時は、まるで悪夢を見ているよう。2億円もの借金の支払いを思うと、不安で夜も眠れなくなりました」  とは、KENJIさん。転職に成功して一部上場会社に勤めたものの、激務とパワハラで身も心もボロボロとなり、藁にもすがる思いではじめた不動産投資では、スルガ物件を購入してしまい窮地に立たされた。 「スルガ銀行といえば、新築シェアハウスかぼちゃの馬車での不正融資が有名ですが、地方の1棟物件に対しても、積極的な融資を行っていました。“スルガ融資=ダメ物件”とは限りませんが、私が購入した時期は、不動産相場が上昇しているタイミング。業者の利益がたっぷり乗った“買ってはいけない物件”を買ってしまいました」

利回り10%が魅力的に見えた

 KENJIさんの購入物件は、利回り10%で金利は4.5%。当時は利回り8%程度のスルガ物件も多く出回っていたため、お買い得な物件を購入できたと喜んでいたそう。 「そもそも過去の私はバンドをしながらフリーターをしており、就職はしたものの転職を繰り返すダメリーマンでした。それが家庭を持ったことをきっかけに一念発起。なんとか某有名企業のグループ会社に潜り込めたのです」  ダメリーマンからエリートリーマンへと華麗な転身を遂げたものの、現実はそんなに甘くない。連日深夜までの激務とパワハラ上司の存在が彼を痛めつけ、ドクターストップがかかった。 「体調不良によって激務の日々から定時帰りの日々となり、その間にサラリーマンを辞めるにはどうすべきか研究。副業や投資について調べたところ、不動産投資が最適だと考え、貯金で中古戸建てを購入して不動産投資をスタートしたのです」
バンド時代 (1)

CDデビューを果たしたもののまったく売れないバンドマン時代

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自分が“出口”であることに気づく
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