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“隠れトランプ信者”がカギを握る。トランプ劣勢でも逆転がありえる理由

下院での決選投票が大統領選と同じぐらい重要

グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマさんとカマラ・ハリス副大統領候補(右)。写真はグレン・S・フクシマさんより提供

フクシマ:今回はトランプ大統領が「郵便投票そのものが不正だった」と訴える可能性があるので、もっと長引きかねません。通常、投票日には各候補の選挙人獲得数が判明して勝敗が決しますが、実際に全選挙人の票を集計するのは来年1月6日です。それまでに、どちらの候補も選挙人270票を獲得できない状況が1月まで続いたら、合衆国憲法修正12条の規定で、下院での決選投票が行われるのです。下院議員1人につき1票でなく、各州につき1票が割り当てられて。 下院議員の数では民主党が多数派を占めますが、州ごとに見ると現在は共和党が多数派を握る州が半分の26州あるので、トランプ再選の可能性が高まる。当然のことながら、大統領選挙と同時に開催される下院議員選挙で共和党が議席を減らせば、決選投票ではバイデン有利に働きます。  だから、大統領選と同じぐらい、今回の下院選挙は重要なんです。最近も民主党のナンシー・ペロシ下院議長とのZoom会合の際に、「決選投票もありえるので、絶対に下院の議席を伸ばす」と話していました。実際、民主党は下院候補者にかなりの資金提供を行っています。 横江:民主党への献金は9月にリベラル系の女性判事として知られた、ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事が亡くなって以降、急増しましたね。すぐにトランプ大統領がギンズバーグの後任判事の指名に動いたので、最高裁は保守系判事6人対リベラル系判事3人と、圧倒的に共和党有利になりました。 大統領選の勝敗が’00年のように最高裁の判断で決する可能性があるためトランプ大統領は後任指名を急いだ格好ですが、これによってリベラル層の怒りが爆発してしまいました。「トランプ対バイデン」の構図が、「トランプ対民主党」の構図に切り替わった。「対バイデン」なら、バイデン候補には期待していないリベラル層が投票に参加しない可能性があったのに、すっかりリベラル層との総力戦になってしまいました。

バイデン候補が優勢でも“隠れトランプ”の存在でトランプ大統領が巻き返す?

――バイデン候補の当選が濃厚と見ているのでしょうか? 横江:優勢なのは確かでしょう。政治資金の監視団体であるセンター・フォー・レスポンシブ・ポリティクス(CRP)によると、トランプ陣営とトランプを支援する外郭団体が集めた献金は10月16日時点で8億805万ドル(約848億円)で、バイデン側は11億8287万ドル(約1242億円)。資金力でも支持率でもバイデン候補が大きくリードしていますから。
大統領選

※支持率は「Real Clear Politics」より。献金額は「Center for Responsive Politics」より

ただ、この構図は’16年の大統領選と同じです。ヒラリー・クリントンが圧倒的優勢だったのに、トランプは民主党の支持基盤だった“ラストベルト”の票を奪うことに成功して競り勝ちました。今回はBLM運動やコロナ対応でトランプ政権に対する批判が強まったこともあって、’16年よりもさらに“隠れトランプ”が増えやすくなっている。おおっぴらに「トランプを支持している」と言いづらい状況ですから。そう考えると、投票日になってトランプ大統領が大きく巻き返すと私は予想しています。 フクシマ:ただし、ヒラリーとバイデンでは有権者の印象が異なります。ヒラリーはウォール街に関係の深い白人エリートというイメージがあるうえに、女性であるとの理由で支持しない層もありました。 一方、バイデンは好感度が高く、彼のことを嫌う人があまりいません。29歳で上院議員になった直後に奥さんと娘さんを交通事故で亡くし、息子を一人ガンでなくしたバイデンは、人の痛みがわかる優しい庶民的なおじさんとして知られているのです。「ヒラリーには投票しなかったけど、バイデンには入れる」という有権者が、伝統的民主党支持者だった労働組合員も含めて少なくありません。
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バイデン政権でジャパン・パッシングの可能性?
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隠れトランプのアメリカ

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