誰もが一生に数回は金持ちになるチャンスが来る/経済評論家・上念司
お金持ちになる条件は、好機をうまくつかみ、活かすということ。このコロナ禍であっても、うまく時流に乗ることで、金融資産を増やしたという人は決して少なくない。大切なのは、好機をつかんだとき、どうするべきか。
新卒で入社した日本長期信用銀行(現・新生銀行)を1年あまりで退社した後、塾経営を経て、経済評論家の勝間和代氏のビジネスパートナーとしても活躍する上念司氏は、まさに「好機をうまくつかんだ人の一人」でもある。また、投資においても、2012年の内閣解散時の時流に乗り、資産を3倍に増やした経験も持つ。では、いかにして、好機を見極め、行動するべきなのかについて、上念氏が解説する。(以下は、上念司著『誰も教えてくれなかった 金持ちになるための濃ゆい理論』の一部を編集したものです)
チャイナの故事に、名馬と駄馬を見分ける伯楽の話があります。伯楽は普通の弟子には名馬の見分け方を教えますが、これはと思う優秀な弟子には駄馬の見分け方を教えると言います。つまり、昔からこの世は駄馬(負債)に溢れていて、名馬(資産)に出合うことは稀であるということです。
さて、ここでポイントです。私は「世の中は駄馬(負債)に溢れていて、名馬(資産)に出合うことは稀である」と言いましたが、これは名馬(資産)が一頭も存在しないという意味ではないことに注目してください。裏を返せば、出合う馬の99%以上が駄馬(負債)であっても、一生のうち数回は名馬(資産)に出合うチャンスがあるということです。
名馬(資産)に出合ったらあなたはどうしますか? 私なら金に糸目をつけずに買います。しかし、金に糸目をつけずと言っても、自ずと買える金額には限界があります。普段からブランド物や時計などの地位材を買いまくって散財していると、名馬(資産)を見つけたいざという時に資金が不足します。その時、都合よく借金できればいいのですが、日本の銀行はお金のある人にしか貸してくれません。なので、銀行に期待しても無駄です。
2012年11月に当時の野田総理が解散総選挙を宣言した時、私は名馬がやってきたと思いました。その名馬の名は日経平均とか、TOPIXと言います。
日本経済はバブル崩壊以来長期低迷に陥り、株価は1万円を割り込んでいました。その原因は日銀による金融政策の失敗です。日銀はインフレを過度に恐れ、大規模な金融緩和を怠り、その結果物価がマイナス(デフレ)に陥るという間抜けなことをしていたのです。本来これを正すのは政治の役目でした。ところが、民主党政権はグダグダで官僚がやりたい放題だったのです。
そんな民主党政権が終わることが確実となった11月、自民党総裁は安倍晋三氏でした。自民党総裁候補の中で、唯一金融緩和の重要性を語っていた人です。間違いなく、間違った日銀の金融政策は正される、そしてお金をたくさん刷って大規模な金融緩和が行われることは確実だと私は判断しました。だから、私は選挙の投票日までの約1か月間、株(指数連動ETF)を買いまくったのです。この時、日経平均は8000円台でした。私はほぼ全財産を日本株に投資し、約6年後の2018年に売却しました。売却時に日経平均は2万3000円台になっていました。まさに名馬!!一生に一度の大勝負でした。
私が2014年から格闘技のジムを開業できたのも、この時の株式投資による含み益という余裕があったからです。余裕があれば、リスクが取れる。リスクを取ればリターンがある(運が良ければ)。デフレの時は現金で資産を保有するのが一番有利でしたから、儲けたお金は現金で貯め込み、名馬(資産)を見つけるや迷わず全力で買う。ゼロから始めた私にできるせいいっぱいのことでした。そして、その賭けに勝った。おかげで今の私があります。この瞬間、私はB(ビジネスオーナー)からI(投資家)の端くれに仲間入りしたと思っています。
もちろん、私が現金で資金を貯め込まずに、地位材を買って満足することもできました。その頃は一応Bの端くれではありましたし。しかし、それではIにはなれなかった。私はIになってもっと自由になりたかった。やはり着地点のイメージをしっかり持っていたことで、行動がブレなかったのだと思います。
一生のうちに数回は「名馬(資産)」に出合える可能性がある
解散総選挙という「名馬」が訪れ、資産は約3倍に!
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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