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今、中国が「海軍を増強」している理由。日本を脅かすかもしれない“恐ろしい思想”

中国 習近平

©Frédéric Legrand/Dreamstime.com

 台湾や尖閣諸島をはじめ、東シナ海や南シナ海への支配力を強めようとする中国。隣国という地理条件はもとより、ビジネス等でも中国と強いつながりを持つ以上、日本でもこれら大国に関する思惑は必須の知識となりつつある。  そんな中国をはじめとする大国の行動原理を、地政学的に分析したのが経済学者・上念司氏の新刊『経済で読み解く地政学』(扶桑社刊)だ。
経済で読み解く地政学

『経済で読み解く地政学』

 日本人にとっては理解できない中国のふるまいを地政学的に検証した同著から、「なぜ中国は他国への影響力を強めようとするのか」を指摘した記事を一部抜粋・再構成してお届けする。

中国に根付く、恐ろしい「中華思想」とは

経済で読み解く地政学

※画像はイメージです(以下同)

 現在、ロシアのプーチンが求めているのは、まさにドイツ人の思想家であるカール・ハウスホーファー(1869~1946)の理論の通りです。  ハウスホーファーは、完全に縄張り意識を重視した圏域思想でもって、国家が自給自足するために必要な生存圏(レーベンスラウム)のために、国家にとって必要なものはすべて自分たちの勢力下に収めるべきであるという思想の持ち主でした。  彼の地政学では、国家を一つの有機体として捉え、我々が食べ物を食べなければ死んでしまうように、国家が生存するためには栄養を確保する必要があると考えます。そこで、国家が生きるために必要な資源や土地(生存圏)を獲得しなければならないと考えました。  ただ、資源や土地を奪い合えば、当然争いが起きます。仮に複数国家で土地を奪い合った場合は、その中で最も強い民族が最終的にはその土地に君臨する。  結果的に、世界は地域ごとの強者が支配する圏域に分かれた、多極化世界が、バランス・オブ・パワーで話し合いをしながら国際秩序を決めていく「パン・リージョン(統合地域)理論」を打ち出しました。  現代のように「アメリカとその仲間たちが守る国際秩序」という価値観で統一されるのではなく、「その地域ごとに最も強い民族がその土地を治めるべき」であるというのが、ハウスホーファーの多極化世界の理論です。  中国も基本的にはロシアと同じ大陸国家であり、社会主義国家として目標を共有していたことなどから考えると、おそらくハウスホーファーの地政学の影響が強いと考えていいでしょう。  また、中国の場合は大陸系地政学に加えて、伝統的に根付いた「中華思想」という考え方があります。  中原(中華文化の発祥地である黄河中下流域にある平原)を制した朝廷が世界の中心であり、その文化、思想が最も価値のあるものであると考え、逆らう異民族には価値を認めず、夷狄(中国の黄河中流域に住む漢民族が、外辺の異民族に対してつけた蔑称)として教化・征伐の対象とみなす恐ろしい考え方です。

新たなアジアの盟主をめざす中国

経済で読み解く地政学 これらの考え方を総合すると、中国は次のような思想、理論で動いているということが推察されます。 (1)10億人を超える人口が自給自足できる領土、支配地域を求めている (2)日本など周辺諸国は夷狄であり、教化・征伐の対象である (3) アメリカやロシアに匹敵するパン・リージョン(統合地域)の盟主になろうとしている (4)(3)のためにアメリカ的な価値観を持たない国(独裁国家など)と平気で手を組む  最悪、これぐらいエグい国と考えてさまざまな対策を講じておかないと、日本の安全保障は危ういのです。  ちなみに、このようなことを中国は以前から考えていたはずですが、これまでは国内が内戦状態だったり、経済的に苦境に陥ったりしていて、思想を実行に移すほどの余裕がありませんでした。  朝鮮戦争や中露紛争、中越紛争など外国との戦争を抱えていたり、文化大革命のような国内が大混乱している時期には、日本としてはまだそれほど中国に対して大きな脅威を感じることはなかったのです。  むしろ日本にとって大きな現実的脅威となったのは、極東ソ連軍、その中でも特にソ連太平洋艦隊でした。
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中国の地政学の根底にある「○○○○」という考え方
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