ニューヨークは松本人志を見返せるのか?「M-1」決勝はかつてない乱戦の予感
「M-1グランプリ2020」の決勝進出者は以下のメンバーとなった。
①アキナ(吉本興業)4年ぶり2回目
②マヂカルラブリー(吉本興業)3年ぶり2回目
③見取り図(吉本興業)3年連続
④錦鯉(SMA)初出場
⑤ニューヨーク(吉本興業)2年連続
⑥おいでやすこが(吉本興業)初出場
⑦オズワルド(吉本興業)2年連続
⑧東京ホテイソン(グレープカンパニー)初出場
⑨ウエストランド(タイタン)初出場
※発表順
準決勝のレポートですでにお伝えしたとおり、今年は例年以上に順当な結果に。ウケたコンビはとりあえず決勝に行ったので異論はないかと思う。どちらかといえば、波乱は準々決勝だった。
テレビ界はお笑い第七世代が席巻し、数多くの番組で取り上げられる状況の中「ニュースターの発掘」という理由で「R-1グランプリ」(次回大会より「R-1ぶらんぷり」から改称)の出場資格が「芸歴10年以内」に変更。芸歴が10年を超えるピン芸人は行き場を失った。
勝手な考察だが、R-1サイドで決勝進出者を決めていたにもかかわらず、決勝進出者が芸歴10年以上の芸人ばかりになってしまうからと追い出したのではないかと思う。
しかし、M-1は違った。
俺が出場していた頃のM-1グランプリの出場資格は「結成10年以内」だった。それは大会の創設者である島田紳助氏の「結果が出ない芸人を辞めさせるため」という後ろ向きな理由からである。だからか開催当初は審査員がなかなか笑わないような、ある意味で「暗い大会」だった。
それが2015年から復活したM-1は明るい「祭典」といった雰囲気となり、「ニュースター発掘」という意図を感じさせる、過去のM-1とはまったく異なる大会となった。
復活当初は俺もコンビ歴10年以上の「和牛」のそつのない完璧な漫才を見て「結成10年以内」に戻さないと、若手は誰も勝てないと感じていた。しかし、「コンビ歴10年以内」の「霜降り明星」が「結成10年以上」の並み居る先輩芸人を撃破し最年少優勝を飾り、お笑い第七世代ブームはやってきた。お膳立てなどしたわけではない。「霜降り明星」はM-1を、そして時代を力でもぎ取ったのだ。
だが、今回は逆襲にあう。
お笑い第七世代の代表格である「四千頭身」「EXIT」、さらにはファイナリスト経験者である「ミキ」が準々決勝で破れ去った。
決勝ではM-1史上最年長49歳、芸歴26年の長谷川雅紀率いる「錦鯉」が、お笑い第七世代で25歳のたける率いる「東京ホテイソン」と戦う。R-1出場資格を失った「おいでやす小田」と「こがけん」が「おいでやすこが」として屈辱をぶつける。
M-1の前ではやりは通用しない。結成15年以内のコンビにはすべてチャンスがあることを見せつける選出となった。年齢など関係ない。勝った奴が「ニュースター」なのだ。
かつては「暗い大会」だったM-1
軒並み苦戦を強いられた「お笑い第七世代」
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
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『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
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