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2021年パチンコ業界に押し寄せる廃業と閉店の荒波

一度去った客は戻らなかった……

 結果、緊急事態宣言が解除されてもホールの稼働は戻らないまま。解除から約半年が経った12月の時点でも客足は遠のいたままだ。関東地方の某ホール店長に話を聞いた。 「全国のデータ上、稼働は前年比で8割程度ですね。地域によってはもっと低くて、夜の街は危険だということで繁華街のホールは半分近くまで落ち込んでいるところもありますね。逆に車で行くような郊外のホールは、ほぼ戻ったなんていう話も聞きますね。特に戻らないのが、やはりコロナに敏感な高齢のお客さんです。本人がパチンコへ行きたいといっても家族が止めるような状況で、その気持ちが分かるだけに仕方ありません。スタッフも家族に高齢者がいるような人は辞めようかどうか悩んでいるくらいですから」  客足を取り戻すべく“甘めの営業”にしたが、一度遠のいた客足は戻らず、旧基準機の撤去延期でなんとか出費が抑えられた状態だという。 「宣言解除後はお客さんを取り戻さなければと甘い営業をしていたんですが、それもいつまでもできません。ウチの店だけじゃなく、近隣のホールを見ても、秋くらいからは渋くなってますよね。幸い5月には旧規則機の撤去が約1年延期され、大きな負担である新台の予算が抑えられました。とはいっても2021年中には旧規則機の全撤去が待っていますし、そのタイミングで営業を継続するかどうか判断しなければならないホールも少なくないと思いますよ。何しろ1台当たり40万~50万円する新機種を、ウチの店の場合だと総台数の半分近く入れ替えなければなりませんから。しかも新しく入れた台のほとんどは、撤去した台ほど売ってくれない。典型的な例になるのがこの11月の撤去したミリオンゴッド‐神々の凱旋‐なんですが、その後に入れた6号機の新台はもう稼働がほとんどありません。このタイミングで廃業を決断したホールもありましたけど、それは来年のウチの店の姿かもしれませんね」

2021年は閉店、廃業が急増する!?

 さらにホールに限らず、コロナ禍の影響を受けた事業者が頼みにしている雇用調整助成金も来年3月からの削減が予定されている。稼働に連動して売上げが落ち込んだままの現状ではスタッフの雇用を助成金に頼っているホールも少なくないが、それが削減されると同時に旧規則機撤去で機械代予算だけが増加するようでは、ここ数年来続いている廃業への流れが加速するのは間違いない。そしてホールが減れば遊技機を供給する側のメーカーも苦境に立たされるのは必然であり、前述のセガサミーだけではなく、多くのメーカーでリストラの嵐が吹き荒れることにもなるだろう。  弱り目に祟り目ではないが、2020年の業界は明るい話題が何もないところにコロナ禍が直撃した形になる。なかでも大きいのは、もともといいイメージがないなかで一部ホールの行いによって吹き出した、世間からのバッシングだ。  東日本大震災後のバッシングではファン人口が大台を割ったが、すでにホール軒数が大台を割っているなかでのコロナバッシングは、業界にどのような暗い影をもたらすのか。もう割るべき大台がないほど追い込まれているパチンコ業界、あるホール店長はこう嘆く。 「それでも他に何もできませんからね。クギを叩けて役職にいられるのはこの業界だけですから、最後までしがみつきますよ」  今年2021年は、パチンコ業界にとって、いったいどんな1年になっていくのだろうか。
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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