パチンコ特殊景品で「銀景品」が登場した裏事情。“閉店ラッシュ”が続くパチンコ業界の誤算
パチンコを打つ人なら誰もが知っている「特殊景品」。ホールの人は「特景」なんて呼んだり、筆者みたいな少々下品な人は“ブツ”だなんて言ったりしますが、法や規則に明記されていないながらも、パチンコ業界の根幹であろう存在であります。
特殊とは一般に対する言葉であり、一般景品といえばお菓子だとか雑貨など。一昔前のテレビや映画ではパチンコで勝ったイメージとして紙袋一杯にお菓子を詰め込んだ姿を使ったりしますが、これが本来あるべき姿だと思います。
でも実際には換金という“特殊”な行為をする前提とした景品に交換するのが常識で、でもそういった描写というものは一般メディアではほとんど用いられません。
それなのに人気俳優が若い頃はパチンコで食べていたなんて話が紹介されますが、きっとその人たちはお菓子とかカップラーメンとか缶詰とかで食べていたということなんでしょう(笑)。
いわば暗黙の了解として存在している特殊景品ですが、だからといって違法ではありません。ホール、交換所、問屋という3点方式を遵守していれば認めるというのが行政側のスタンス。だからホールが直接買い取る形(直買い)に対してはとことん厳しくて、摘発されたという話も定期的にニュースになっています。
また風営法や暴力団対策法がしっかり整備されていない頃には反社的な人たちが交換所を運営していたなんて話もありましたけど、それを率先して排除したのが東京のホール団体。その際にはいろいろとキナ臭い事件もありましたけど、その結果として導入されたのが金を特殊景品に使う「金景品」です。
金なら特定の交換所以外でも換金できるし、しっかりとした価値もある。それまでの特殊景品で使われていた、飲んだらおなかを壊しそうなコーヒー豆とか、これが1000円の価値があるの? みたいな景品もなくなりました。
反社の排除はホール団体と連携していた行政側にとっても、グレーな部分が少しでも払拭されるならということで推進できたことだったと推測しますが、ファン側としてもどこの交換所に持ち込んでも対応してくれたりという(※露骨に嫌な顔をされることもありますが、ホールと交換所は無関係なのが前提なので断ったらアウトになります)利便性もあって、悪いことじゃなかったのかなと。
ただ金景品を導入した側にとって誤算だったのは、世界的に金価格がどんどん上昇を続けているということ。結果、20年ほど前には1グラムの金景品(大景品)が2500円だったものが、価格改定を繰り返し、昨年には9000円にまでなりました。税込みで1万円というのが景品価格の上限と法律で決められていますから、9000円はもはや上限。
しかも金価格が上昇するたびに、金景品を交換所に持ち込むのではなく街の質屋や買い取りショップに持ち込む例も急増。さらに交換所前に待ち構えていて普通に交換するより高く買い取ってくれた人もいたりと、混乱を生む原因にもなっていたようです。
ホールが景品を直接買い取るのはNG
金価格の高騰が誤算に
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ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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