竹中直人と『燃えよデブゴン』谷垣監督が語る、真のアクションスターの条件
『燃えよデブゴン』(’78年)といえば、サモ・ハン監督・主演による香港映画だが、今年、そのオマージュともいえる『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』が、“宇宙最強”と謳われる世界的アクション俳優ドニー・イェン主演で公開中だ。
監督は、ドニーと長年にわたりタッグを組み、『るろうに剣心』シリーズではアクション監督を務めるなど、日本のアクション・シーンを牽引する谷垣健治。往年の香港カンフー映画へのリスペクトがふんだんに盛り込まれた本作への思いを、ブルース・リー好きを公言し、日本人キャストの一人である竹中直人と語り合ってもらった。
――竹中さんが演じているのはコミカルなヅラの日本人刑事役でしたが、キャスティングの経緯は?
谷垣:竹中さんは香港映画人からの人気が絶大で、「日本の俳優を使うなら」とまず名前が挙がるんですよ。
竹中:本当に? なんで? ありえない!
谷垣:『Shall we ダンス?』(’96年)は香港でも大ヒットしたし、ドニーは『RAMPO』(’94年)を観て大絶賛してました。ずっと竹中さんのこと、「ナカタケさん」って呼び間違えてるけど(笑)。’90年代から香港人にとって馴染みのある俳優なんですよ。
竹中:そんなのぜんぜん知らなかった。
谷垣:「『燃えよデブゴン』だけでは竹中さんの魅力を伝え切れてないから、またぜひ共演したい」って、さっきビデオ通話で言ってましたよ。
竹中:本当に!? ぜひ共演したいです。現場で会うのを楽しみにしてたのに、肥満体の特殊メイクが見事すぎて、共演した実感がぜんぜんなかった。
――谷垣監督はドニー氏に師事し、数々のアクションをともに作り上げてきましたよね。
谷垣:今や、日本の多くのスタントマンやアクション監督は、みんなドニーの下で学んでいます。ドニーがすごいのは、あの誰もマネできない独特の雰囲気。ブルース・リーやジャッキー・チェンもそうですが、フィジカルに頼らない自分だけの個性が確立するとアクション俳優は強いですね。
竹中:僕はアクション俳優ではないけど、わかる気がする。個性の強さが普通じゃない。ブルース・リーには、影響どころか僕の体の中に常に存在しちゃってる。芝居のところどころにDNAレベルでにじみ出てると思います。
屈指のアクション監督と竹中直人が語る香港映画とドニー・イェンの魅力
「自分だけの個性が確立するとアクション俳優は強い」
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