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“令和のラジオスター”になった23歳女性の半生。父の死を機に子役から離れ、バイト掛け持ちで学費を稼いだ経験も

 ラジオ黄金期と呼ばれた時代から、もう50年はたつだろうか。音声メディア復権の鍵を握るのは下町育ちの23歳、赤髪の女のコだ。大物を筆頭に、中年男性たちも虜にする、“本音のしゃべり”。新世代のラジオスターと言わしめる、その正体に迫った。

「令和のラジオスター」は自称!?

エッジ1203 レギュラーラジオを3本抱える、ピンク髪がトレードマークの“令和のラジオスター”をご存じだろうか。  ’01年生まれ、東京下町育ち。ガールズバンドGacharic Spinのマイクパフォーマーを務める彼女の名はアンジェリーナ1/3(以下、アンジー)。一見、Z世代の申し子とも言える見た目と肩書だが、意外な一面も……。 ──実は、主なリスナーは昭和世代が多いって本当ですか? アンジー:そうなんです。ライブハウスより落語の寄席の会場で声をかけられることが多いくらいで(笑)。講談師の神田伯山さんのラジオで代役を務めたことがきっかけで、そこからガラッと環境が変わりました。

リスナーに勧められた神田伯山の講談

エッジ1203──もともとは、リスナーから伯山さんの講談を勧められたんですよね。 アンジー:初めてのラジオ『アンジェネレーションラジオ』(ラジオ日本)ではまだ何を話していいのかわからなくて。  大好きな岡本太郎さんや横尾忠則さんのことを語った流れで「まだアンジーが触れたことのなさそうな、人生に彩りを与えてくれるもの」をメールテーマにしたら、「講談師の神田伯山さんです」と。  あのとき、好奇心のセンサーがビビッときて、すぐチェックして、どハマりです。  そこから寄席にも通うようになりました。表現者として絶対に触れるべき表現に出合ったなっていう気持ちでいっぱいで、講談の素晴らしさを30分間熱弁したら、それが伯山さんの耳にまで届いてアンジーのラジオを聴いてくれて……そこからご縁が生まれました。  ラジオを通したラリーから、まさかのまさかで代役までさせていただいて。実はこの間お会いしたときも、「すごくいいストリップショーが千秋楽になるから見てきたらいいよ」って、“伯山”って書いてあるポチ袋に入った1万円を渡されて(笑)  浅草のロック座に初めて行きました。すっごい感動して、長文でお礼の連絡をしたら、「ああよかったよかった」とだけ。久しぶりに会うたび、伯山さんは必ず、人生の分岐点みたいな、バーン!って衝撃を一発残してくれる。

「令和のラジオスター」は自称していただけ

──素敵なご関係ですね。「令和のラジオスター」というのは、最初は自称だったとか? アンジー:はい、完全に自称です。夢は口に出せば叶うと思ってるので。えっへへ。自分を表現する場が音楽だけではなく、ラジオやテレビにまで広がってきて、爆笑問題の太田光さんと共演したときに「次世代のラジオを担うコだ」って言ってもらって。  その一言をお守り代わりに、伯山節じゃないですけど、誇張して自称していたら、いつの間にかこんなことに。 ──ラジオでは、例えば「メロい」といった若者言葉を自然とフォローしながらトークしていてすごく聴きやすかったです。 アンジー:上の世代への配慮というか、世代関係なく、その瞬間に聴いてくれる人を置いていかないようにしたくて。「メロい」がわからなくてムズムズして話が入ってこないとか、何の話をしてるのかわからないっていうのがラジオで一番冷めちゃう瞬間だから。  通りがかりの人に向けて話しているんだけど、なんなら「この言葉、今覚えたからこの後使っちゃおう」って思えるくらい全員を巻き込みたい。 「それ、どういう意味?」ってラリーが発生する会話を、一人しゃべりでもちゃんとやりたい。新規に優しいラジオです!
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父の死を機に演技の仕事から距離を置いた
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