スポーツ

プロ未勝利、28歳で引退した甲子園春夏連覇のエース・島袋洋奨のいま

通信教育で教職免許を目指す

 現在、母校の興南高校の広報部の事務職員として働きながら教職免許取得を目指し通信教育を受けている。沖縄ではずっと囁かれてきたことがある。春夏連覇メンバーの誰かがいずれ興南の監督をやるのだろうと。 「沖縄に恩返しをという思いはもちろんありますし、母校で甲子園を目指せたら理想的だとは思います。でも高校野球は甲子園だけではありません。今は、僕ができることを1つ1つ見極めて行動することが大事だと思っています。今年度の4月1日に正式に学校に配属されたのですが、新型コロナウイルスの影響ではじめは生徒に会う機会がありませんでした。だからなのか懐かしさを感じるというより、早く学校を再開したい思いがずっとありました。  僕は高校時代に我喜屋監督からいろいろ教わりました。その中での一番の教えは『野球を通して人生をいかに生きるか』です。幸い、僕は高校、大学、プロといったカテゴリーに進む中でたくさんのことを学びました。そういった経験上から得た教えを、生徒たちにどんな形でもいいので伝えていければと考えています。生徒たちが豊かな人生を送られる手助けすることが僕らの役割だと思ってますから」

子供たちの夢を支えたい……

 言葉を慎重に選びながら答える島袋の目はしっかりと未来を見据えていた。  高校、大学での登板過多による問題に対し身をもって経験している島袋だからこそ、子供たちの溢れるほどの夢を絶対に潰えさせてはいけないと思っている。母校に恩返し、大好きな野球に恩返し、それはイコール子供たちの夢を守る意味でもあるのだから。
1968年生まれ。岐阜県出身。琉球大学卒。出版社勤務を経て2009年8月より沖縄在住。最新刊は『92歳、広岡達朗の正体』。著書に『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)、『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』(KADOKAWA)、『まかちょーけ 興南 甲子園優勝春夏連覇のその後』、『偏差値70の甲子園 ―僕たちは文武両道で東大を目指す―』、映画化にもなった『沖縄を変えた男 栽弘義 ―高校野球に捧げた生涯』、『偏差値70からの甲子園 ―僕たちは野球も学業も頂点を目指す―』、(ともに集英社文庫)、『善と悪 江夏豊ラストメッセージ』、『最後の黄金世代 遠藤保仁』、『史上最速の甲子園 創志学園野球部の奇跡』『沖縄のおさんぽ』(ともにKADOKAWA)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α文庫)、『永遠の一球 ―甲子園優勝投手のその後―』(河出書房新社)などがある。

92歳、広岡達朗の正体92歳、広岡達朗の正体

嫌われた“球界の最長老”が遺したかったものとは――。


確執と信念 スジを通した男たち確執と信念 スジを通した男たち

昭和のプロ野球界を彩った男たちの“信念”と“生き様”を追った渾身の1冊

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