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タクシーの無賃乗車が起こるメカニズム。ドライバーは自腹で泣き寝入り?

タクシー

無賃乗車と言い切れないことも…

 しかし、以下の状況だと少しやっかいになることがある。 「運転手さん、ごめん今持ち合わせがなくて、後日会社に届けるからさ。今日のところは勘弁してもらっていいかな」  このように、後日払う約束をして支払う意思を示した場合には、無賃乗車にあたらず被害を訴えることはできない。本来ならば警察などの第三者に立ち会ってもらった方がよいが、時間を惜しむタクシードライバーにとってはそれがなかなか出来ない。本人同士の口約束で降ろしてしまい、後日払う意思を示すだけで一向に払わず、結局泣き寝入りしてしまうケースもある。  また、財布を取ってくると言ってなかなか来ない乗客に痺れを切らし、諦めてその場を離れようとした時、乗客の男性が走ってきた。 「すみません、急にお腹が痛くなりトイレにこもってしまいました。遅くなり本当すみません」  そう息を切らしながら乗車料金と一緒に缶コーヒーを差し出してきた。あと少し遅かったらこの乗客は無賃乗車犯にしてしまった可能性がある。このように支払う気持ちがありながら、乗客とドライバーの時間の感覚のズレによって無賃乗車犯にされてしまった人もいるかもしれない。

逃げ得は絶対にさせない

 タクシー会社もタクシードライバーもこのようなチンケな犯罪をただ指を加えているだけではない。常習的な無賃乗車犯は、会社の垣根を越え業界全体でドライブレコーダーの映像、無賃乗車犯の特徴や情報を共有し注意喚起する。そういったことにより無賃乗車犯の検挙にも繋がっている。  コロナ禍のいま、当てにならない先のお客よりも、目先の営業を大事にするタクシードライバー。今まで時間がもったいないと諦めていたが、今はたっぷりある。逃げ切れるなど甘い気持ちを持たない方がいいだろう。そんな状況なのできっちりと運賃は取らせてもらうと逃げ得はさせないだろう。   乗せて降ろすまでどのような人かわからない。新たにタクシー業界に飛び込んで来た人が人間不信にならないことを祈るばかりである。 <文/二階堂運人>
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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