仕事

私に定年はない。勤続65年、90歳で週5日働く女性の金言は「今を生きる」

4月1日から「改正高年齢者雇用安定法」(通称・70歳就業法)が施行された。これによって、いよいよ「70歳まで働き続ける」が常識になる世界が現実味を帯びてきた。そこで90歳でも現役で働く大先輩に人生の心得を聞いた。

ギネスブックにも認定された「世界最高齢総務部員」の教え

70歳まで働く

’20年12月28日の認定式では「私に定年はない。今年終わったらまた来年との気持ちで頑張る」と喜んだ

 現役世代が定年70歳を不安に感じている一方で、なんと90歳でもバリバリ現役として働き続ける人がいる。大阪のねじ専門商社「サンコーインダストリー」で総務課長として働く玉置泰子さんは、勤続65年の超ベテラン社員。定年延長制度を活用し、ほかの若い社員と変わらず、週5日は9時~17時半で働いている。  ’20年末には「世界最高齢総務部員」としてギネスブックにも認定。まさに“生涯現役”を体現する彼女だが、何歳になっても働き続けられる秘訣を聞くと「どんな小さな仕事でも『これは私の仕事、主人公は自分』と思うことです」という答えが返ってきた。 「そう思えたのは、若い頃に社員研修で行った禅寺の和尚の教えがあるからです。『お椀の中身を飲むとき、自分から頭を下げて迎えに行ってはいけない。あくまで主人は自分。お椀を自分に持ってこなくてはいけない』と言われて、ああ、これは仕事と一緒だなと。  誰に命令されても『やらされている』と思ったら、途端に仕事は苦しいものになってしまう。小さな仕事でも自分が主人公だと思って目的を決めれば、責任感も生まれるし、なにより仕事が楽しくなります」

’80年代にパソコンが職場に来たときが転機

 今の業務内容は社員研修の企画運営をはじめ、経理や庶務を担当。エクセルを駆使して第一線で仕事をこなす。長いキャリアを振り返れば、’80年代に「パソコンが職場に来たときが転機だった」という。 「当時はパソコンに馴染めなくて辞めていった人もいました。けれど私は『なんて便利なものなんだ』と面白がって自分から進んで使っていたんですよ。やっぱり好奇心が強いのがよかったんでしょうね」  ただ、課長として部下を持つようになってからはマネジメントに苦しんだそうだ。部下をうまく導けず、会長からは「部下を育てるのが一番ヘタな課長」と言われたとか。そんな彼女が大切にするようになったのが、「自分以外はみんなお客さま」という考え方だ。 「同僚の方も、部下の若いコも、上司も社長も、私にとってはみんな大切なお客さまなんです。そう思えば仕事や接し方もおのずと丁寧になるし、謙虚でいられます」
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