仕事

スキルがない50代会社員の「絶対に退職したくない」生存戦略

4月1日から「改正高年齢者雇用安定法」(通称・70歳就業法)が施行される。これによって、いよいよ「70歳まで働き続ける」が常識になる世界が現実味を帯びてきた。早期退職が実施される会社で働く男たちはどんな“しがみつき策”を講じているのか?

早期退職した人は「給料も下がったし残るべきだった」

70歳まで働く

大手機械メーカー所属の上田さん。今後の昇給も怪しい情勢なので「バイトなどの副業でなんとか年収を上げようとしている」という

 現在、上田順一さん(仮名・55歳)が勤めている大手機械メーカーは今期、新型コロナの影響で創業以来の大赤字の見通し。経営自体が危ぶまれる状況だが、それでも現在の会社で定年後の再雇用まで働くつもりだという。その理由は? 「早期退職制度を利用して辞めた人の話を何人かに聞いたんですが、『最初はよかったけど給料も下がったし残るべきだった』と、みんな同じ意見。  これまでずっと事務仕事だったので手に職があるわけでもなく、他で働けるスキルもありません。転職サイトに登録はしてみたものの、年齢的に足元を見られて酷い待遇の会社ばかり。だから辞めたくないというよりは、残るしか生きる道がないというのが本音です」

貢献もしづらくスキルもないが独自の生存戦略

 絶対に退職したくないという意気込みに反して、職種上努力できることがほぼないのが悩みだとか。 「資格も不要で、正直誰にでもできる事務仕事なのでわかりやすく会社に貢献できないんですよ。ただ、見かけだけでもやる気は見せておかないと評価は下がってしまうので、新人教育をしっかりやってるふうに見せたり、年の功で引っ張っている雰囲気を出すようにしているのがせめてもの努力です」  仕事で頑張れないと判断した上田さんは、少しユニークな生存戦略を実践しているという。 「出世したり、いい部署に異動する人に共通するのは上司や経営陣と関係性がいいという点。『慶應卒は出世する』という俗説じゃないですが、社内外問わずに優秀な人と仲良くなっておけば困ったときに助けてくれるんじゃないかと。  早期退職の面談が行われた際に繋がりがあるおかげで、『あいつ、いいヤツですよ』と後押ししてくれたら儲けものですし」  他力本願と言ってしまえばそれまでだが、何もせずにリストラされるのを待つよりは多少前進か。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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