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中川淳一郎「優秀な若手には恩を売れ」70歳まで働き続けるためにすべきこと

4月1日から「改正高年齢者雇用安定法」(通称・70歳就業法)が施行される。これによって、いよいよ「70歳まで働き続ける」が常識になる世界が現実味を帯びてきた。そこで身につけておきたい“将来の上司”である年下とうまく接する術や、万が一会社から去る際のテクニックを、フリーライターの中川淳一郎氏に聞いた。

「優秀な若手」といかに付き合うかが人生を左右する

中川淳一郎

中川淳一郎氏。昨年からは佐賀県唐津市に移住してセミリタイア生活を開始。それでも現地で仕事を得るのはさすがだ

 今の40代が定年を迎えるとき、好条件で再雇用されるか過酷な契約内容を突きつけられるか、運命の分かれ道がやってくる。そのジャッジを下すのは、今はまだ20、30代の若い社員たち。つまり、今から年下の部下や、後輩に対しての振る舞いには考慮する必要があるのだ。  フリーライターの中川淳一郎氏は昨年「セミリタイア宣言」をして佐賀県に移住したが、地方で暮らす今も年下の仕事相手からのオファーが絶えないという。うまく年下と仕事をするコツとは? 「俺の場合、どれだけ年下でも敬語を使って相手を尊重します。そして、将来仕事を振ってくれそうな若者を見極めるんです」  では、将来有望な若手をどんな目線で見極めているのだろうか。 「同期と仲がよくて、性格のいい若手ですね。上司や部下からも好かれるし、この手の若者には人が集まります。そして『将来自分はこうありたい』と、適度な野心を持っていると最高。今は佐賀県庁から仕事を受けているんですが、まさにそんな若手職員と仲よくなって一緒に釣りに行ったりしています。  有望な若手にはこちらも惜しまず人や店を紹介して、ウザがられない程度に恩を売る。いかに年下に好かれるかが、今後の人生を左右するんですよ」

年下と付き合うのは「先行投資」

 中川氏が年下との関係性を重視するようになったのは、会社員時代に出会った先輩の影響だという。 「俺がまだ博報堂にいた頃、山本さん(仮名)という30代の上司が毎年『新入社員を一人、自分の下につけてくれ』と、自分から上に頼み込んで新人教育をしていたんです。『山本塾』って呼ばれているんですが、その1期生が俺で、全部で8人生徒がいる。  新人教育なんか面倒だし避ける人もいるのに、彼は進んで『将来の自分にとってプラスになる、直属の部下』を囲い続けて、今思えば、すごくいい先行投資をしていたわけですよ」  新入社員にとっては、マンツーマンで仕事を教えてもらえて、これほどありがたいことはない。 「その“新入社員”というところがポイントで、経験がない新人は無条件で上司が何かやれば勝手に『すげえ』って感動する。実際、山本さんはそんなに凄い先輩でもなくて(笑)。  遅刻魔で打ち合わせも半分くらいすっぽかしていましたけど、その度に平謝りして、『俺起きられないんだよ~』って言われちゃうと、怒りよりむしろ可愛く見えてくるんですよ。  8人もいればその中の2~3人は出世しますからね。現に俺もなにかあったら山本さんに仕事を依頼しますし」  社内人脈づくりは年下を狙え。 【ウェブニュース記者・中川淳一郎氏】 博報堂を経て、数々のネットニュース媒体で編集業務に従事。’20年夏にはセミリタイアを宣言し、佐賀県に移住。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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