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40代引きこもり、母親の年金が頼みの綱「親の死後は恐くて考えられない」

普通に働けず、40代からひきこもり

 継父と母と同居している畑野俊朗さん(仮名・53歳)は高校卒業後さまざまな職業を経験したがどれもしっくりこず、40代からひきこもっている。母を虐待していた継父とは若い頃から関係が悪く、会話はない。  現在は食費と光熱費を実家に頼りながら、FXで一日に500~1万円の日銭を稼ぐ。9年間負け続きで、ようやく昨年半ばから利益が出るようになったが、負ける日もある。  だが普通に働けないため、こうするしかないと畑野さんは言う。 「母が亡くなったら、継父から追い出されることは目に見えているので今のうちに稼いでおきたいのですが、損失が出たり、稼げなくなったらもう首を括るしかないでしょう」

就労経験がなくても働ける社会づくりが急務である

ひきこもり

親の年金を頼るほか、障害がある場合も少なくないので障害年金受給も勧めるが、抵抗する場合が多いとか

 こうした状況から社会福祉士でソーシャルワーカーの深谷守貞氏は、ひきこもりながらでも生計を自活できるような、無理のない社会参加ができる仕組みをつくることが急務であると提言する。 「今の時代は人と会わなくてもお金を稼ぐ方法はいくらでもあります。しかし他者に対して恐れを抱き、他者との関係を恐れる状態では何をやってもうまくいかないし、家族にしか頼れなくなる。親の遺体を放置する事件も、人との関係性構築の支援を社会が軽視してきたゆえの悲劇です」  これについて浜田氏も「年金がストップするからというよりも、親の死亡届を出すと自分が無職のひきこもりであることが役所にバレてしまう羞恥心が強すぎて、放置してしまうのでは」と話す。  中高年ひきこもりを生み出し、彼らを不可視の者として扱う社会システムを見直すことが、8050問題の解決に繋がるのかもしれない。
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親の死後の高齢ひきこもりはどうなる?
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