更新日:2021年03月25日 15:07
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40代引きこもり、母親の年金が頼みの綱「親の死後は恐くて考えられない」

親の死後の高齢ひきこもりの生活設計はどうなる?

 「働けない子どものお金を考える会」では社会保険労務士の浜田裕也氏を含め7人のファイナンシャルプランナーが生活費などに特化した相談、提案、対策の実行支援を行う。相談者は8050世代のひきこもりの親兄弟姉妹が多い。 「親の年金を頼るなど言語道断という風潮がありますが、私たちはそれで生活できるのであればよしという考えを持っています。それしか生きる術がないものを、頭から否定しても何の解決策にもならないからです」(浜田氏)  親の存命中は親の年金に頼ることを前提として、基本的には以下のような生活設計を提案する。  年金受給資格がある場合、65歳から月約7万円の収入のほか諸経費が最低5万円必要と仮定。そうなると男性の平均寿命81歳までの16年間の赤字は約960万円、医療費などの余裕を持たせると1260万円となる。 「そこで自宅や資産などの整理をし、親の遺産がある場合は、そこからいくら補塡できるかを考えていきます」

年金も資産もない場合は?

 年金も、資産もない場合はどうなるのか。 「自立支援医療制度や障害年金、生活保護といった社会保障制度を上手に活用するお手伝いをします。中には就労支援制度を活用して月に数万円の収入を得られるようになった方もいます。  しかし、親の死後に完全に自立できたケースはありません。遺産や公的支援を活用して何とか生きていくことを目指すのが最善の形でしょう」 【NPO法人KHJ全国ひきこもり家族連合会・深谷守貞氏】 社会福祉士、ソーシャルワーカー。KHJにてひきこもり当事者と家族の支援を行う。同団体の分会「兄弟姉妹の会」を担当
浜田裕也氏

浜田裕也氏

【社会保険労務士・浜田裕也氏】 ファイナンシャルプランナー、「働けない子どものお金を考える会」メンバー。内閣府ひきこもり支援者読本の一部共同執筆に参画 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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