更新日:2021年02月22日 21:48
仕事

Re.Ra.Ku 社長が語る上場企業の作り方「世界で勝てるグローバル企業は4分野」

江口康二、馬渕磨理子

ナスダック上場を目指す

馬渕:こうしてリラクはアメリカへ目を向けます。なぜアメリカへ? 江口:コロナ禍で緊急事態宣言の影響もあり、数億単位でお金が燃えるような状態で、業績も一気にリバースしていました。我々はリアルのビジネスですから。でも、ここで勝負しなかったら二度とチャンスは来ない。絶対に上場させると決意して進み続けました。 馬渕:コロナ禍で先行きが見えない状態だと、リストラや家賃を下げるとか、生き延びる時間を長くするものですが…。 江口:そうです、普通は耐えるのがセオリーだと思います。しかし我々は、全員の雇用を守り、閉店もしないで、アクセルを踏むと決めました。 馬渕:そして上場を果たした。 江口:実は、我々は不況に強いんですよ。リーマンショックのときも東日本大震災のときも、逆に客数は伸びたんです。業界全体では逆です。かつ、不景気で雇用が不安定なときに、我々の産業は雇用を吸収できるんです。こういう産業をちゃんと上場させるということは一つの社会的なミッションだと思っています。

ヒントは『海猿』。リラクゼーション映画を作るねらい

馬渕:そんな「ウルトラC」で上場を果たされていますが、長期的にはヘルスケア分野のグローバル企業を目指すにあたって今後はどのようなビジョンを掲げているのでしょうか。 江口:社会的地位向上の一環で、セラピストの職業の魅力をしっかり世の中に伝えようと思っています。それは、広告じゃなくて、エンターテイメントの力で変えられないかなと考え、映画を作りました。 馬渕:映画ですか? 江口康二、馬渕磨理子江口:医療ドラマとか、刑事ドラマとか、みなさんよく見られますよね?ドラマやエンターテインメントの力は職業のイメージ向上を図る上で大きいのです。映画「海猿」の公開以降、もともと不人気だった海上保安庁の職に人気が集まり、今や平均8倍率の人気の職業になりましたよね。我々はあれを目指したいのです。 馬渕:なるほど。これもまた成功事例から学ばれている。 江口:ただ、上場はまだまだスタート地点。我々はヘルスケア分野のボーダレス化のスタート地点に立ったに過ぎません。ここからは、経営効率や売上利益の規模など経営者としてのスコアも求められます。最終的には、取得したヘルスケアデータを用いた生活習慣の改善を促す特定保健指導や、ウェアラブルトラッカーの開発・販売にも力を入れていきます。 馬渕:「店舗はメディア」の意味がよく理解できました。他のビジネスにおいても、これはとても参考になる視座なのではと思います。<取材・文/馬渕磨理子 撮影/石田 潤> 江口 康二 1973年生まれ。東京都出身。新卒で自動車流通ベンチャー企業に入社。同社のインターネット事業部長に就任後、独自に開発したビジネスモデル特許「プライスダウン・オークションシステム」で「日経優秀商品・サービス賞」を受賞する。その後、最年少役員の経験を経て独立へ。2000年に株式会社メディロムを設立。リラクゼーションスタジオを全国に302店舗展開。(2021年1月末現在)一般社団法人日本リラクゼーション業協会の理事としても活躍をしており、業界の地位向上へと繋げている。2020年セラピストを題材とした映画「癒しのこころみ」でプロデューサーとしてデビューする。また、同年の12月29日にNASDAQ Capital Marketにて新規上場を果たす。21年ぶりのダイレクト上場という快挙を成し遂げ、現在日本法人唯一のNASDAQ上場となる。
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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