総合商社に下剋上が勃発!?
ウォーレン・バフェット氏も注目の日本の商社株ですが、その中でも特に、伊藤忠商事が力を付けており21年には純利益で業界、首位になりそうです。
バフェット氏がなぜ、日本の商社株に注目しているのかについては、「
バフェットも認めた“総合商社最強説”。アフターコロナこそ有利な理由」をご覧ください。
商社と言えば財閥系の「資源」に強みを持つ企業が、莫大な利益を上げるビジネスモデルが主軸です。三菱、三井、住友といった財閥系商社が立ちはだかり、非財閥の伊藤忠商事にとっては、今までその壁は高く、厚かったと言われています。
そう、儲かる「資源ビジネス」をやりたくても、財閥系のようにはできなかった伊藤忠が首位に君臨することになりそうです。
5大商社 2019年度売上高ランキング
1. 三菱商事 14兆7700億円(純利益 5353億円)
2. 伊藤忠 10兆9800億円(純利益 5013億円)
3. 三井物産 6兆8800億円(純利益 3915億円)
4. 丸紅 6兆8200億円(純利益 -1974億円)
5. 住友商事 5兆2900億円(純利益 1713億円)
19年度の5大商社ランキングを見てみると、1位は三菱商事が売上高14兆7700億円、純利益5300億円となっていますが、実は「伊藤忠商事が三菱商事を逆転」。“下克上”が、今まさに現実に起きようとしているのです。時価総額を比べてみると、1月18日の終値ベースでは三菱商事の時価総額は3兆9,500億円です。対する伊藤忠商事は4兆9,000億円と、時価総額では既に逆転しています。
続いて、21年3月期の純利益の見通しで比較してみましょう。
1. 伊藤忠 4000億円
2. 三菱商事 2000億円
3. 三井物産 1800億円
4. 丸紅 1500億円
5. 住友商事 -1500億円
なんと、21年は、伊藤忠が純利益で1位に躍り出る予想です。
三菱商事は2000億円の見通しである一方、伊藤忠は純利益4000億円を計画としていることから、5大商社の中では頭が一つ飛び抜ける格好になります。三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く、ダブルスコアです。
三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきました。ところが今期、コロナ禍で厳しい局面に立たされています。
金属、天然ガスの利益が大きい三菱商事は新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済の停滞や資源需要減の影響で、資源や自動車ビジネスの環境悪化の影響をダイレクトに受けています。資源に依存したビジネスモデルについては以前から課題意識を持っていましたが、「脱資源」への方向転換はそう簡単ではありません。

21年3月期の純利益の目標を2000億円としていますが、これに対して、中間決算では866億円と43%の進捗率に留まっています。中間決算では、本来は半分の50%に届いていることが望ましいですが、50%を割る結果になっています。

要因を具体的に見てみると、中間決算では、コロナ禍で需要減に苦しむ出資先の三菱自動車の減損損失を取り込んで自動車部門が214億円の赤字に。金属資源部門の利益は前年同期比6割減になっています。実力でも、利益の回復ペースが見劣りしています。