更新日:2021年01月12日 18:39
恋愛・結婚

生涯婚活時代がスタンダードに。IBJ社長に聞く「ニッポンの結婚の未来」

いまもっとも婚活に変化が起きている

石坂茂 馬渕磨理子

石坂茂氏(IBJ代表)、馬渕磨理子(筆者)

 “婚活”。社会学者の山田昌弘氏がこの言葉を生み出したのは2007年のことです。  それから14年。今や、お見合い、婚活パーティー、マッチングアプリなど、出会いの形は多様化を極めています。  そんな年々拡大する婚活市場の中で、いち早くこの業界を席巻したのが、日本最大級の結婚相談所を運営する東証一部上場の株式会社IBJです。2012年の上場以来、同業会社から、旅行会社まで多くの企業を次々買収してきた同社。  今や“婚活業界のホールディングカンパニー”といえるほど巨大化したIBJは、海外事業や保険事業など結婚後のライフデザイン分野にも多角的展開を見せています。  そんな同社代表の石坂茂氏は、日本の婚活史の20年以上を俯瞰し「いまもっとも婚活に変化が起きています」と語ります。  これまで、“恋愛コンサルタント”や“婚活アドバイザー”など、婚活の専門家を名乗る様々な識者が婚活に関する持論を展開してきましたが、今回のように、歴史ある婚活サービスを提供する当事者からの語りはかなり貴重なものです。  いま、この国で起きている「あたらしい婚活様式」とは一体何なのか。  2021年以降の婚活のゆくえを、日本最大級の婚活会社の代表が語り尽くしました。
石坂茂

石坂茂氏

東大から銀行、銀行から婚活へ

馬渕:石坂社長は東京大学を卒業後、日本興業銀行(当時)に入行され、今から20年以上前の2000年にIBJの前身となる婚活サイトを立ち上げました。銀行員から婚活会社起業へ。異色の経歴です。なぜ婚活市場に注目されたのでしょうか。 石坂:「日本の人口が減少に転じる」という事実が私を突き動かしました。もちろん、少子化対策をうたって婚活サービスを始めたわけではありませんが、将来的には婚活市場はさらに大きく伸びると思ったのです。 馬渕:その根拠は? 石坂 3つあります。1つは、婚活サイトは在庫を持たなくていい。2つ目は景況感・相場に左右されない。3つ目はパートナーを探すというのは人間の根源的な欲求に関わる分野である。この3つの条件から、ナンバーワンを目指せるかもしれないと思いました。それに、社会的意義も大きいですよね。 石坂茂 馬渕磨理子馬渕:その読みは当たりましたね。2012年に上場を果たし、今や資本金約7億円、従業員1000人超の大企業に成長しました。 馬渕:潜在的ニーズがあったとは言え、日本国内でこれだけ成長できた理由はなんでしょうか。 石坂:日本の場合、先進国の中でも婚外子の割合が2.3%と非常に低いため、子供を産むことはほぼイコール結婚という文化です。そのため、成婚(=婚約)をゴールにするIBJの事業が日本で支持されたのでしょう。現在日本の結婚組数の約1.5%をIBJが創出しています。
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“密”が基本の恋活・婚活が制限された2020年の今後は
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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