更新日:2023年05月23日 17:34
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JR東日本は鉄道だけの会社じゃなかった?「収益の約半分をITに」の気になるナカミとは

鉄道と対をなす新たな事業の軸

山手線「大人には、いい休暇をとる、という宿題があります。」  これは、JRの青春18きっぷの2009年夏のキャッチコピーです。  1982年に開始された特別企画乗車券である青春18きっぷは、今年で41年目を迎えます。そんなJRグループの中で、最大の売上を誇るのがJR東日本です。2023年の同社は、旅行需要の回復もあり業績は好調傾向です。  例として、同社のゴールデンウィーク中の新幹線・在来線の利用は前年比140パーセントと昨年を大きく上回っています。そして今後はインバウンドによるさらなる上乗せも期待されています。  JR東日本と言えば、やはりそのまばゆいばかりの路線ラインナップに目を惹かれます。  山手線、中央線、湘南新宿ライン、上野東京ライン、京浜東北線、そして東北新幹線と上越新幹線…。  国内移動の一大インフラ企業として知られる同社ですが、今やJR東日本はただの鉄道会社ではなく、新たな事業の軸が生み出されようとしているのをご存知でしょうか。

実は知らないJR東日本の今。IT事業収益40%の計画も

 知らない人は驚かれるかもしれませんが、今JR東日本は巨大IT企業へと変貌を遂げようとしています。言うならば、鉄道事業”も”行う巨大IT企業、それがJR東日本です。2022年度計画を見ると、「生活サービス、IT・Suicaサービス」に2120億円を投資。この投資額からも今後の事業の軸のひとつとしてITを据えていることがわかります。  具体的な数値目標も示されています。  現状において、JR東日本の収益の大部分は運輸事業によってもたらされていますが、2027年には「生活サービス、IT・Suicaサービス」において40パーセントの収益をあげようと計画しています。収益の約半分がIT。まるで、上越線土合駅の階段を一歩一歩のぼるように、JR東日本は新たな事業に力を注いでいるのです。  2027年となるともう4年後ですが、まだJR東日本のIT企業化を実感できていないという方も多いでしょう。  しかし、高輪ゲートウェイ駅が2014年に発表され、2020年にあっという間に開業したように、大変革はものすごいスピードで実施されます。そして、その鍵となっているのは私たちの生活に非常に馴染みの深いあのキャッシュレスアイテムです。
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Suica最大の大変革が進行中
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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