仕事

Re.Ra.Ku 社長が語る上場企業の作り方「世界で勝てるグローバル企業は4分野」

江口康二、馬渕磨理子

江口康二氏(株式会社メディロム社長)、馬渕磨理子(筆者)

米国ナスダックに新規上場

 リラクゼーション業で国内上場はできない――。  これは、2000年の創業以来、14年間に渡り上場を目指し続けていたリラクゼーションスタジオRe.Ra.Ku を経営する株式会社メディロム江口康二社長が突きつけられた現実でした。  そんなメディロムが選んだ道は、国境を越えた米国ナスダックでの上場。2020年12月、コロナ禍の激動の中、薄氷を踏む思いでメディロムはナスダック上場を果たしました。  駅前で「Re.Ra.Ku」の看板を見かけたことのある人は少なくないはずですが、同社が売上高39億800万円(※1)、国内302店舗(2021年1月現在)の業界最大手級のリラクゼーションスタジオであり、さらに世界各国での病院経営を目指していることはあまり知られていないのではないでしょうか。 (※1 19年12月期の売上高は39億800万円(米国会計基準)。日本からはSMBC日興証券の本支店を通じてADR(米国預託証券)を購入できる)  それでは、Re.Ra.Ku はなぜ創業されたのでしょうか?  すべては、世界進出できる企業を作るという“逆算思考”からの賜物だったのです。リラクゼーション業界国内初の上場企業ができるまでの約20年に渡るドラマを一気にお読みください。 江口康二、メディロム

「世界で勝てるグローバル企業は4分野しかない」

馬渕:江口社長は大学を卒業後、自動車の買取・販売会社に入社されました。インターネット事業部長に就任し、新事業を成功に導いたあとに退職され、2000年に株式会社リラク(現・株式会社メディロム)を創業されていますね。なぜリラクゼーションスタジオだったのでしょうか? 江口:起業前から、どうすればグローバルに世の中をよくできるかを考えていました。そもそも、グローバル企業って何なんだろうって考えてみると、人種の壁、宗教の壁、国境の壁、世代の壁、そんな壁を越えられている企業だけが世界的な企業だと気づいたんです。 馬渕:では、世界的な企業になれるのは、具体的にどんな業界でしょうか。 江口:突き詰めると、世界で勝てるグローバル企業は4分野しかないんですよ。「金融」「情報通信」「マテリアル」、最後に残ってるのが、「生命科学」です。 馬渕:金融業はゴールドマン・サックスなどの外銀、情報通信はGoogleやAmazon。マテリアルはアップルやトヨタですね。それ以外で勝てるのが生命科学だけ、と? 江口:特にベンチャー企業はそうです。金融でベンチャー企業が参入するのは今さら感があります。マテリアルは工場や人員も含めて巨大な資本が必要で、ベンチャーでは勝ち目がない。情報通信は、GAFAやアリババを見ればわかるように、もうほとんど勝敗を決している。創業時の2000年ごろ、いまだにボーダレスになってない分野は生命科学分野だけだったのです。 馬渕:最初から逆算して生命科学分野に目をつけていたんですね。 江口:おっしゃる通りです。
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