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横浜市は中華街、崎陽軒etc.地元密着型のフードデリバリーに勝機はあるか

「あの名店も遂にデリバリーを始めたのか」。口コミで広まるように

 横浜中華街で名門中華の名を馳せる「聘珍樓(へいちんろう)」を筆頭に、近年若者たちから人気の昭和レトロな飲み屋街・野毛の老舗米国風洋食店「センターグリル」、かつて外国人居留地だった横浜山手に残る数少ない西洋館のひとつとしても知られる洋菓子店「えの木てい」、横浜市を中心に展開するハンバーグ&ステーキレストラン「ハングリータイガー」など、横浜で愛されてきた飲食店が連なっている。 「あそこもデリバリー始めたのか」という地元民の口コミも相まって、NEW PORTの個人向けデリバリーは幸先順調だと木村さんは話す。 「飲食店の中には他社のデリバリーサービスには加盟していないところもある。NEW PORTでしかデリバリーできない横浜の名店の味を求めて、使っていただく機会も多いですね。最近だと崎陽軒がデリバリーできるようになったんですが、開始したタイミングで多くの注文が入りました。30~40代のユーザー中心に一度ならずリピートして注文してくれる方も4割くらいと結構な割合で。色々な飲食店のメニューを回遊しながら気に入った商品を注文するケースが多いですね」

横浜をモデルに、他県にも広げていきたい

 横浜市近郊に住む地元民を中心に、月におよそ数千件のオーダーが入るNEW PORT。地元密着型が功を奏し、着実に認知度を上げる同サービスの今後の展開はどのようなものなのか。 「今後も横浜というローカルに根ざしたサービスを創っていきたいですね。NEW PORTを通じて『誰もが知る名店』『知られざる地域の隠れた名店』を知ってもらえたらいいなと思います。また、横浜をロールモデルとして、他県の商工会議所や自治体とも連携し、いずれは全国にも広げていきたい」  デリバリー注文を機に、店舗の味を知ってもらい、別の機会にテイクアウトやイートインで再度利用してもらえるような導線づくりも考えているという。 「今はまだないですが『口コミ投稿機能』や『コメント機能』があれば、もっとユーザーの声を反映できるので、デリバリーのみならず、地域の飲食店と住民との架け橋になるような存在として、今後も尽力したいですね」  地域に寄り添い、ローカルの繋がりや交流を生む取り組みは、コロナ禍で苦しい状況に立たされる社会にとって、一筋の光明が見えるのではないだろうか。  スカイファームと横浜市によるプロジェクトの発展に期待したい。<取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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