更新日:2021年04月02日 15:08
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直木賞作家・朝井リョウが作家10周年記念で「性欲」をテーマにした理由

総合デパートみたいな書き手になるのが夢

──傑作でした。新たな代表作だと思います。 朝井:「『桐島』の人」「『何者』の人」ではなく、「『正欲』の人」と言われるようになりたいです。自分で自分を縛っていたルールがちょっとずつなくなっている感じが、今、自分でも頼もしいんですよ。「それでまだ31歳なんだ!」みたいな驚きもあります。自分が10年後、何をしているかぜんぜん想像がつかないんです。自分の未来に対して、何でもありじゃんみたいな気持ちになれていることは初めてで、謎の開放感がすごいんです。 ──こういう作家になりたい、というイメージはありますか? 朝井:爽やかな青春を味わいたい時に読むものもあるし、すごくイヤな気持ちになりたい時に読むものもある、どんな感情になりたい時も朝井リョウの本棚に行けば何かがある。吉田修一さんのような、総合デパートみたいな書き手になるのが夢なんです。今年はもう1冊小説を出す予定ですが、来年の目標は、3冊目のエッセイ集を出すこと。タイトルももう決まっていて、というか帯の売り文句まで既に決めてあるんです。それは、「なぜか書き下ろし!」。さきほど『正欲』というタイトルを褒めてくださいましたが、「なぜか」と「書き下ろし」の言葉の組み合わせは、「正欲」以上の発明だと個人的に思っています! ※3/30発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』より 【RYO ASAI】 ’89年、岐阜県生まれ。小説家。’09年、『桐島、部活やめるってよ』(集英社)で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。’13年『何者』(新潮社)で第148回直木賞、’14年『世界地図の下書き』(集英社)で第29回坪田譲治文学賞を受賞。『正欲』が発売中 取材・文/吉田大助 撮影/鈴木大喜
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週刊SPA!4/6号(3/30発売)

表紙の人/ 黒木 華

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