仕事

“空飛ぶクルマ”を作る企業が求める人材。ラジコンマニア、自衛隊パイロットetc.

ラジコンマニアの建設会社社長がテストパイロットを務める

SD-03 空飛ぶクルマの開発においては、今後も有人飛行試験を繰り返していく必要があるが、その操縦席を任されているのも、異色の人物だ。現在、テストパイロットを務めているのは、エアモビリティ事業部チーフエンジニアの安藤寿朗氏だ。安藤氏は建設会社社長のかたわら、40年にわたり水陸空のラジコンを製作飛行、30機以上のオリジナルドローンを制作してきたという経歴の持ち主とのこと。 「安藤さんには、CARTIVATOR時代から開発を手伝ってもらっていました。本格的にスカイドライブに入ってもらって、これまで趣味のラジコンに費やしていた時間をすべてこちらに費やしてもらうかたちになりました(笑)」  空飛ぶクルマ(eVTOL:イーブイトール)の主な特徴は、「電動化」「垂直離着陸」「完全自律の自動操縦」といったものだが、3つ目についてはまだ発展途上だ。最終的には完全自動運転化を目指しているものの、現段階ではパイロットによる操縦機構も設けられている。まだ既存の航空機なみの安全性はない状態ゆえ、緊急時にはクルマ任せではなく人間による判断と操作で乗り切ろうという考えだ。 「心構え的にも、スキル的にも、テストパイロットに求められる技量は通常のパイロットよりもよほど大きいですね。現在試作機を操縦できるのは安藤さんのみですが、元自衛隊パイロットもメンバーとして加わり、次のテストパイロット候補として操縦の腕を磨いているところです」

空を“走る”日は遠くはない

 もちろん、この新しい乗り物に対して、恐れや不安を抱く層は一定数いる。そうした社会的な受容や人材育成など、まだ解決すべき課題は多いが、一歩一歩、空飛ぶクルマのある社会に向けて前進しているスカイドライブ。乗り物や技術に魅せられたメンバーが次々に集まることで、また新たな化学反応を起こしてくれるに違いない。同社が掲げるコーポレートメッセージ「空を、走ろう。」の行く先に注目である。<取材・文/松嶋千春>
様々なメディア媒体で活躍する編集プロダクション「清談社」所属の編集・ライター。商品検証企画から潜入取材まで幅広く手がける。
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