仕事

「から揚げの天才」急成長を支える他チェーン店にないこだわり

 日常に何気なく溶け込んでいる商品やサービスの裏には、知られざる逸話や並々ならぬ努力が隠されていた……。そんな“実はスゴい”エピソードを持つ企業を紹介する当企画。前編では、テリー伊藤氏とのコラボ秘話などをお伝えしたが、後編では調理方法や販売方法など、他チェーン店にはないこだわり。そして、そのこだわりを実現させたエピソードをワタミ株式会社から揚げ営業部部長の川本治氏に伺った。

揚げたてにこだわり支持を集める

から揚げの天才

から揚げの味付けから揚げる作業まで、全て店内で行っている。二度揚げすることで客を待たせることなくスピーディに揚げたてを提供できるのも「から揚げの天才」ならでは

 テイクアウトを前提とした店が扱うから揚げは、作り置きが一般的。だが、「から揚げの天才」は “揚げたてのから揚げ”をコンセプトとしている。ワタミ株式会社から揚げ営業部部長の川本治氏によれば、このこだわりは外食チェーンで働く者が叩き込まれる、ある“こだわり”に起因しているという。 「揚げたてへのこだわりは、全員がもう刷り込みに近い状況(笑)。我々は外食チェーンをずっとやってきているので、『料理はできたてが旨い!』ということは、身にしみて理解しています。だから『とにかく揚げたてで提供するにはどうしたらいいか?』が出発点でした」  ただ、揚げたての味を短時間で提供するオペレーションを完成させるまでには、かなりの試行錯誤を繰り返してきたそうだ。 「工場で味付けを完結させたほうが味がブレにくいですが、揚げたてを美味しく提供するためには、それではダメなんです。工場での味付けに加えて、店で揚げる寸前にも味付けをして寝かせる工程が必要です。工場と店での味付け工程をどう調整するのがベストなのかを探るため、試作と試食を何百回と重ねました」

個数売りで他店と差別化

 主力商品である「デカから」の味の基本バリエーションは3種類。塩麹と極出汁の「白」、秘伝の黒醤油の「黒」、そしてコクの辛味噌の「赤」だ。ていねいに2度揚げされた鶏肉のジューシーな柔らかさとうまみはヤミツキ必至である。小腹が空いたら1個だけ買うもよし、ガッツリと食べたければ「デカから3個弁当」、玉子焼き付きの「からたまおかず4個パック」、「天才!バーレル デカから20個入り」といった個数セットのメニューも用意されている。 「同業のライバル店は当然見て回ったんですが、差別化のために導入したのが、赤、白、黒の味を自由に選んでいただけるお弁当というシステムです。例えばお弁当チェーンさんに行くと、こっちの具をあれに変えて、そっちの具はこれに変えて……という注文はできないですよね。そこに対応するとなると、オペレーションの部分で、入れ間違いだとか入れ忘れだとか、他のお客さんとの食い違いが起こってしまう。でも『から揚げの天才』では、それを実現しています」  また、から揚げ販売店の多くでは、総菜屋のようにグラム売りしているケースが多いが、「から揚げの天才」は1個単位だ。 「グラム売りだと分量がイメージしづらいと考えまして、『デカから』は販売単位を個数にしています。から揚げ1個が99円で60グラムというのは、わかりやすいしお買い求めしやすいだろうという判断。これも他店との差別化の一環ですね。美味しいものを安く提供するという軸はブレずに、『今日のおかずにもう一品』として気軽に選んでいただける店を目指しています」
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挑戦する「4つのチャレンジ」
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