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朝番組「ラヴィット!」ついに1.1%。ひとり負けの現状をなんとかする秘策

8時16分から「渡鬼」をやれば効果絶大?

 ここで忘れてならないことがある。  朝8時台のテレビ番組の王者はNHKの朝の連続テレビ小説だ。  現在放送中の「おちょやん」は新型コロナウィルス感染症のため11月30日開始という異例のスタートだった。その初回視聴率が、20%以下の18・8パーセントしか取れなかったことで大きな話題となった。  その後、番組は4月2週目は17%ほどで推移している。この数字は朝ドラとしてはいい視聴率ではない。  NHKの朝ドラは、事前にBSで放送し、昼間に再放送されてもなお、朝8時からの本放送が通常は20%に到達するお化け番組なのである。  つまり、朝8時台の真の王者はワイドショーでなくNHKの朝ドラなのである。  朝ドラは、かつては朝8時15分からの放送だった。つまり、各局ワイドショーが始まって、落ち着いてからの放送だったものが、2010年から朝8時開始となり、民放各局の朝のワイドショーにぶつけてきた。そして、「朝ドラ」一人勝ちになったのだ。その流れは、今の「あさイチ」の好視聴率にも直結している。  そこで、だ。「ラヴィット!」は冒頭15分は、その日のメニュー紹介などとともに、短めのコーナーを行う。NHKの朝ドラを見終わった視聴者を受ける形で、8時16分過ぎから、ではみんなで「渡鬼」を見ましょう、皆さんの感想をツイッターなどでつぶやいてください、と「渡鬼」につなぐ。  そして、「渡鬼」後は、そのままスタジオで今日の「渡鬼」をテーマに10分ほどトークする。嫁姑問題だけでなく、電話がガラケーばかりだとか、えなりかずきが若いとか、岡本信人はこの頃から道端の草を食べていたのだろうか? など、ネタは山ほどある。  加えて視聴者の感想も紹介し「渡鬼」の視聴者をそのまま「ラヴィット!」に取り込んでしまうのだ。

NHKの朝ドラ→「あさイチ」の繋ぎを応用

 これは、NHKの「あさイチ」でも、毎日のようにMCが当日の朝ドラの感想から番組を始める、その進化バージョンだ。  こうして、まずは視聴者に「ラヴィット!」を見てもらい、空気に馴染んでもらったところで独自のコーナーを始めればいいのだ。  先日亡くなった俳優・田中邦衛の代表作「北の国から」をフジテレビは4月3日(土)に放映した。視聴率はなんと9・4%、この日は春の番組改編期で、各局力を入れた番組が並ぶ中、再放送番組が驚異の視聴率を獲得したのだ。「渡鬼」が数字を取らないわけがない。  タレントのふかわりょうは、「ラヴィット!」の放送初回の視聴率が惨敗だったことについてMXテレビの特番でこう語っている。 「1日や2日で判定するのはかわいそうなんですよ。帯番組って日常の視聴習慣だから」  こう本音を吐露し「正直な話、3年は欲しい」という。  きっとTBSは2%の視聴率の帯番組を3年も続けることは難しいだろう。  視聴者の習慣を変えるためには、それだけ強力なコンテンツが必要だ。今のような制作費削減の時代に「ラヴィット!」が生き残る特効薬として、まずは見てもらうための「渡鬼」丸呑み戦略はいかがだろうか? <文/経済評論家・佐藤治彦>
経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko
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