『シーシュポス：The Myth』 　恋愛は始めるよりも終わらせるほうが難しい、ワンメディアの明石ガクトだ。 　行かなくなったスポーツジム、カッコつけて購読してるが読んでない新聞、新格安プランを横目に見ながらそのままにしている高い携帯料金、そしていつまでも終わらない米国ドラマを延々と惰性で観続けて飽き飽きしているSPA！読者の皆さん、ちょっと待って。珠玉のSF韓国ドラマ『シーシュポス：The Myth』を観て、今こそズルズル引きずったままのいろいろに終止符を打つ時がきたんだぜ！ 　この連載で韓国コンテンツを取り上げ始めて、もうすぐ一年。今更ながら、なぜ自分がこんなにも韓国ドラマに心惹かれるのかようやくわかりました。それは人気が出るとすぐに延命策に走る米国ドラマと違って、キチンと“終わらせる”っていう意識を持ってるからだと思うんだ。温厚な僕も『プリズン・ブレイク』のファイナルシーズンの後にシーズン5がしれっと始まった時にはさすがにキレそうになったよ。 　今回紹介したい作品は未来からタイムトラベルしてくる“密入国者”から命を狙われながらも核戦争が起きるディストピアな未来を防ぐために立ち向かう……ってこれ『12モンキーズ』ですか？ あれもドラマ版が一向に完結しなくて苛立ちがすごかった……でも、大丈夫！ こっちは今のところ、盛り上がり最高潮のまま終わってくれそう！ 　終わらせないほうが、大人の事情的に都合がいいことがたくさんある世の中だからこそ、終わらせる美学が求められる時代なのかもしれないぜ？ よし、それじゃあダメな恋愛を終わらせようか……。 ●『シーシュポス：The Myth』 監督は『青い海の伝説』『ドクター異邦人』で知られるチン・ヒョク。Netflixオリジナルドラマシリーズとして全16話が独占配信中 ’82年、静岡県生まれ。上智大学卒。’14年、ONE MEDIAを創業。近著に『動画の世紀 The STORY MAKERS』（NewsPicks Select）がある