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東京砂漠に比べれば天国?「地獄島」で展開される、恋愛リアリティショー/明石ガクト

慢性的なリアリティショー不足

動画オーバードーズ

『脱出おひとり島』より

 テラハの出演者がオシャレな仕事っぷりをアピールするシーンでちょっと見切れるくらいの距離感で出演したかった男、明石ガクトだ。  もう’22年、すっかり定番となってしまったニューノーマルな生活は我々に思わぬ被害をもたらしている。そう、慢性的なリアリティショー不足である。恋愛というのはどうしたって密なものだ。長い時間をかけて濃厚接触を繰り返すことで、人は誰かのことを好きになっていく。  リアリティショーを成立させるには長期間の集団生活を追いかける必要があり、コロナ禍においてそれは困難極まりない。こうしてあれだけ新作が出ていた恋愛リアリティショーはすっかりレアな存在となってしまった。

マンネリ化した状況に一石を投じた韓国発の恋愛サバイバル番組

 コンテンツ業界もこの状況に何とか対応しようと努力している。出演者全員を世間と隔絶された環境においてしまえば撮影は問題ないと考えた結果、新作リアリティショーはいわゆる「アイランド」モノばかりになっているのだ。  しかしこれもリゾート感ある無人島に参加者を押し込めるところまでがテンプレとなり正直どれもこれも同じ……このマンネリ化した状況に一石を投じたのが韓国発の恋愛サバイバル番組『脱出おひとり島』である。  これまで地上の楽園的に扱われてきた無人島を「地獄島」と見立てて、そこからカップルになることで脱出できるというコンセプトが斬新。しかし出演者もツラいアピールで地獄を盛り上げようとするが、この東京砂漠で必死に生きている我々からするとどうやったって楽しそうなリゾートにしか見えません。出演者のその後も含めて世の中の注目を集め続ける本作、乗り遅れたなどと思わず、今からでもこのビッグウェーブに乗ってみてくれ。  地獄に残された誰かは、天国にいる誰かに片思い。相手のことを知りたいのになかなかわからない、そんな好奇心こそが恋愛の醍醐味だっていうことを思い出させてくれる名作。ぜひ気になる誰かを誘って観てみてくれ。その際は、年齢と職業は秘密にしてみてね。 ●『脱出おひとり島 緊張★★★★、駆け引き★★★★★、非日常★★★★★(5点満点) 「あいのりの緊張、テラハの駆け引き、バチェラーの非日常。我々が観てきたリアリティショーのいいところをごちゃ混ぜにしてスープに溶かしたらこうなるんかい」 Netflixシリーズ『脱出おひとり島』独占配信中
’82年、静岡県生まれ。上智大学卒。’14年、ONE MEDIAを創業。近著に『動画の世紀 The STORY MAKERS』(NewsPicks Select)がある

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