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回転寿司から消えるメニューも? 大型コンテナ船の座礁事故で世界中が悲鳴

コスト10倍増も。高騰し続ける海上運賃

コンテナ危機

※40ftコンテナ1個あたりの船賃(出典:Freightos)

 主要なコンテナ船航路の運賃の加重平均であるフレイトス・バルチック国際コンテナ指数を見ると、昨年11月から2月末までの3か月で約76%も上昇しており、現在も前年同期比の倍近い水準で推移している。中国・広東省で医療機器などの受託製造や取次業務を行うブライト・ブリッジ・グループ代表の大橋由享氏も海上物流の現場での異変についてこう明かす。 「BtoBの海上運送では、船に積み込むまでを発送者が負担し、それ以降の海上運賃と通関費用、陸上輸送費を受け取り側が負担するのが通例です。しかし、受け取り側のコストが今年に入って3~10倍に上がった。某大手日系物流会社では、一時20倍も船賃を値上げしていました。コンテナの通関後もいつ荷積みされるのかわからず、到着も2~3日の遅延はザラという状態が続いています」

先が見えない海上運送。経済活動にも影響が

 こうした状況について「今年の秋以降も続く」と話すのは、複数の外航貨物船を所有する国内海運業の経営者だ。 「冷凍コンテナやタンクコンテナなどが登場したことで、ありとあらゆるものが運べるようになり、コンテナ船は約20年の間に海上貨物輸送の主役となると同時に、大型化が進んできた。  世界の主要航路では、10年ほど前までは5000個積みのコンテナ船が主流だったが、今では座礁事故を起こした船のような2万個積みのコンテナ船も増えている。アライアンスを組んで、大きなキャパシティを複数の企業で融通し合うほうが、コスト面でも環境負荷面でも有利だからです。  ただ、2万個積みレベルの大型船は入港できる港が限られており、国内で言えば京浜と神戸くらい。さらに荷積み荷降ろしにもより時間がかかる。平時はいいいですが、今回の座礁事故やコロナによる港湾の稼働率の低下などイレギュラーな事態になると、とたんに脆くなる」  世界の港湾が混雑するなか、滞船が増えたり、満船を待たずに出港するケースも増えており、コンテナの偏在とコスト上昇の原因となっている。コンテナ製造も中国に依存するなか、新造コンテナバンの価格も前年の3倍ほどになっており、これも運賃に転嫁される結果となっているという。  国際物流の終着地である消費者にもすでに影響が出始めている。欧米では、インスタントコーヒー用のコーヒー豆が大量に不足し、アメリカではチーズ不足が叫ばれている。日本も例外ではない。『日本経済新聞』(4月2日付)によると、コンテナ不足による入荷停滞が理由で、東京・大田の青果仲卸が外食店や小売店などに販売する輸入レモン、グレープフルーツの価格が上昇。前年同期比でそれぞれ、12%高、11%高となった。
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