回転寿司から消えるメニューも? 大型コンテナ船の座礁事故で世界中が悲鳴
今年に入ってから、コンテナ不足による海上運賃の高騰が止まらない。世界中でリスクが顕在化し、経済活動にも影響を与え始めている。いったい、何が起きているのか、関係者に取材した!
たった一台の車の事故が大渋滞を引き起こすことがあるが、それは海上交通でも同様だった。3月23日、スエズ運河で大型コンテナ船が座礁し、“通行止め”に陥ったのだ。船は29日には離礁したが、世界の物流は今なお大きな余波に揺れている。関東地方の大手輸入家具店に勤務する店員は言う。
「スエズの一件で、ベッドやテーブルなど、ポーランド製の大型家具を中心に、納品が1か月以上遅れる見通し。新生活シーズンの書き入れ時ですが、欠品はしばらく解消されないでしょう」
欧州産ワインを扱うディストリビューターの幹部もこう明かす。
「フランス産やイタリア産の低価格ワインは、温度調節機能のない普通のコンテナで約1か月かけて運ばれてくるのですが、座礁事故の影響で、ウチの商品を載せたコンテナ船は、気温の高い地中海南部に10日ほど停滞していた。過去に例がなく、到着次第品質を確認しますが、場合によっては売り物にならない可能性もある」
座礁事故の影響は、現場となったスエズ運河を通過する欧州航路だけにとどまらず、今後、世界中の海上運送に波及する可能性がある。
国際物流に詳しい拓殖大学商学部の松田琢磨教授はこう話す。
「世界のコンテナ輸送は、コンテナ容器を回転させることで成り立っています。定形のコンテナに貨物を詰め、それを重ねてコンテナ船で運搬する。目的の港に着岸したらコンテナごと荷降ろしし、別のコンテナを荷積みして次の目的地へと向かう。ところが、コロナ禍で欧米諸国を中心に港湾や通関の現場で遅滞が起き、コンテナの滞留が起きているのです」
これが直接の原因だ。さらにコロナ流行以前に勃発した米中貿易摩擦のせいでコンテナの新造が減少していたことも一因だ。
「昨年上半期のドライコンテナの新造量は前年同期比で36%も減っています。こうした背景に加えて、巣ごもり需要などの増加もあり、コンテナ不足と合わせてコンテナ船運賃の上昇に直結しました。今回の座礁事故の影響で、コンテナ回転の遅滞がさらに進み、状況の改善にさらに時間がかかりそうです」(松田氏)
世界の海運業者から悲鳴。日本の物価上昇を招くか!?
座礁事故が招いた、世界規模のコンテナ不足
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