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宇宙熟成の超高級赤ワインがISSから返ってきてオークションへ!その価格は

宇宙空間でお酒の味はどう変わる?

ISS

ISSで2年以上、ニューポッドに木片を入れた実験が行われました(画像はマムのYouTubeより)

 2015年、サントリーはJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と連携し、国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟にお酒を持っていきました。「微小重力環境を利用したお酒のまろやかさの形成」に関する研究のためです。  実は、お酒を長期間熟成すると、まろやかな香味を生み、美味しくなるというメカニズムの全容は解明されていません。サントリーは東北大学や東京大学、高輝度光科学研究センターなどと共同研究を進め、「液体の対流を抑制した環境では、お酒の分子構造の高次化が促進され、まろやかさが形成される可能性」があるという結果が得られました。この結果を基に、40%アルコールと熟成期間の異なる5種類の蒸溜酒を計6サンプルを持って行き、宇宙空間の微少重力環境によって無対流状態になったお酒がどのように変化するのか実験したのです。  2019年にはルクセンブルグの宇宙ベンチャー企業Space Cargo Unlimitedが、フランス産の赤ワインを12本ISSに持っていきました。12ヶ月熟成させ、どう変化するのかを調べるそうです。  これらの実験に持っていったお酒は、宇宙飛行士は飲めません。とは言え、宇宙旅行時代を見据え、無重力状態でお酒を飲むための研究も行われています。2018年、シャンパーニュの「Mumm(マム)」は、宇宙空間でシャンパンを飲むためのボトルとグラスを開発しました。  無重力状態では、シャンパンの泡は丸い固まりのように漂います。それを小さなグラスでキャッチして飲むのです。テスト映像がYouTubeで公開されていますが、とても楽しそうです。

土佐宇宙酒プロジェクト

宇宙シャンパン

宇宙空間でもシャンパンを飲める日は遠くないかもしれません

 宇宙に液体を持っていくのはとてもコストがかかります。実際問題、どれだけ技術が進化しても、輸送費で商品にはならないでしょう。しかし、酵母であれば、比較的手軽に運ぶことができます。  2005年10月、高知県酒造組合の「土佐宇宙酒」開発プロジェクトで、高知県産吟醸酵母と県産酒造好適米の種籾を乗せたロシアの有人宇宙船ソユーズが飛び立ちました。宇宙で10日間過ごしたあと、無事に帰還。宇宙を旅した酵母や種籾から増やした材料を利用し、審査に合格した物を「土佐宇宙酒」として認定しています。
土佐鶴

様々な酒蔵から土佐宇宙酒が販売されています。画像は土佐鶴オンラインショップより

 正確に言うと、木樽に入れているわけではないので、熟成ではないという意見もあるかもしれません。とは言え、無重力という未知の環境で、何かお酒に好ましい現象が起きるのであれば、ぜひ知りたいところです。宇宙熟成酒、早く飲んでみたいですね。
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【動画】「宇宙で1年以上熟成されたワイン」試飲会の様子
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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