ニュース

600頭もの犬が次々と“自殺”した謎の橋。原因は目の錯覚なのか

本能に逆らって自殺することはあり得ない!?

 そもそも「自殺」は自己を認識した上で「死の概念」が無ければ成立しないとされ、獣は自殺しないと言われてきた。例外的にチンパンジーやゴリラなどの類人猿、ゾウやイルカなど社会性を持つ動物には仲間の死を認識しているかのような行動が観察されいるが、これらも本当に死を認識しているかどうか確証は得えられていないままだ。  動物の自死で最も知られた例は北極圏に住む「レミング」(旅鼠)の集団自殺だろう。ただし、この「集団自殺」が世界的知られるようになったのはディズニーによるドキュメンタリー映画『白い荒野』(1958)の内容が誤解されて伝わったのが真相。実際には周期的な集団移動にともなう事故死説が有力だ。  またこの他にも、座礁クジラのニュースはよく知られているし、飼い主との別離でエサを食べなくなって亡くなる飼い犬の話もある。変わったところでは2020年の九十九里浜におけるハマグリの大量死も話題になった。だが、どれも方向感覚の乱れやストレスなど理由は別に推察されいて、自殺とは解されていない。  いずれにせよ本能の強い動物が、本能に逆らって自殺することはあり得ないという考察が支配的で、原因は別にあるとされている。

白い貴婦人の亡霊説

 で、犬の自殺橋である。  地元牧師の説に対して、宗教哲学の講師であるポール・オーウェン氏は異論を唱えている。オーウェン氏は11年にもわたってこの橋で起きる犬の死について研究を重ね、それに関する著書「バロンの虹の橋:飛び降りる犬たちの謎」も上梓している。 亡霊 オーウェン氏はとある新聞で「この背景にはある霊の存在がある」と述べている。しかもその霊を「オーヴァートンの白い貴婦人」と呼ばれる女性の霊と断定。この女性は、問題の石橋を建設したバロン・オーヴァートンの妻で、夫の死後まるで夫を偲ぶかのように何年も悲しみに打ちひしがれた様子で橋の上をウロウロしていたと言われている。その後、女性が1908年に亡くなってからは、度々その橋で女性の霊が目撃されていたのだ。  もともと橋があるオーヴァートンは、ケルト神話のおける「シンプレイス」(Thin place=薄い場所)と呼ばれ場所で神域とされている。人と人ならざるものの世界の境界が近い場所というわけだ。  ただイギリスに限らずこの手の話は、古い歴史を背景に尾ひれがついて広まっているものだが、オーヴァートン橋の伝説は吟遊詩人の歌や民話などに見出せない。この橋の歴史はたかだか130年ほどで、犬の自殺に至ってはここ60年ほど。古城風の建物と石橋は古色蒼然とした雰囲気だが、年代的にはある種の都市伝説レベルと言えるだろう。
次のページ
錯覚が犬を“自殺”に追いやる!?
1
2
3
元パチンコ雑誌編集者。ライター、編集者。パチンコ業界歴は30年近い。現在は業界誌の他WEB媒体に転職系や占い、オカルト系記事なども執筆中

記事一覧へ
おすすめ記事