更新日:2021年06月05日 11:14
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闇ワクチン密売業者に接触。指定された場所に「1本15万円」の注射器

渡米してワクチン接種。3日で150人が殺到

ワクチン

米ニューヨーク市内の鉄道駅にある、観光客向けワクチン接種センター写真/AFP=時事

 一方、国内のワクチン接種者がようやく1000万人を突破したが、65歳未満の接種スケジュールは未定のままだ。こうしたなか、注目を集めているのが渡米して接種するワクチンツーリズム。  一部都市では観光客向けにワクチンを無料で接種するサービスを始めており、世界から外国人が殺到しているのだ。ニューヨークにある日本人向けツアー会社「あっとニューヨーク」の土橋省吾代表は言う。 「ワクチン接種ツアーの募集を5月12日から開始したところ、17日から3日間だけで150人もの予約があった。参加者の9割が男性で、多いのは40~50代の会社経営者です。ニューヨーク州が観光客用に接種するのは、当初ジョンソン・エンド・ジョンソン社の1回接種で済むワクチンだけでしたが、今はファイザー社製も打てます」  同社は接種会場へのアテンド費として150ドルという価格だが、個人で動き始める人も。ビジネス通訳業務を行う現地在住の日本人は言う。 「コロナで仕事がなくてヒマだったから取引先に『ワクチン打てますよ』と呼びかけたら興味を示してくれて。今月末にIT企業の社長夫妻が来る予定です。ホテルの手配と合わせ20万円で請け負いました。コロナで仕事がなくなってたんで助かりますよ」  渡米すれば日本より早く打てるのは確実だが、問題は帰国時だ。今のところ「ワクチン接種者も入国時は72時間前PCR検査と14日間の自主隔離は必要」(厚労省対策推進本部)なので、ややハードルは高いかもしれない。

中国製ワクチンの営業メールの正体

 さらに、一刻も早くワクチンを接種したい人々に向けて正体不明のワクチンを案内する事例も。  家電や衛生用品を販売する東亜産業が医療・介護従事者に向けて「中国国内において接種された実績」があるワクチンを「独自ネットワークを駆使して」入手したという営業文書を送付していたのだ。5月中旬にSNSで暴露され炎上したが、当事者はこう答える。 「ワクチンの絶対数が不足するなか、国民全体に行き渡るまでに時間を要するので、社会貢献の一環として、医療機関の院長など非常に限られた方々にお手紙を出しました。  弊社は医薬品の販売製造業の許認可を取得しておらず、薬機法(旧薬事法)上ワクチンの輸入ができないため、あくまで医療機関に対して入手ルートのご紹介と輸入手続きのサポートまで。医療機関等がしっかりとリスクを認識していただいた上で、購入していただくことになる。  ネット上では批判的コメントもありましたが、『ぜひ情報交換したい』と好意的な意見も複数頂いています」(広報担当)  中国政府は、中国製ワクチンの民間輸出を認めていないが、それに対しては「中国政府の意図はわからない」と答えた。中国製ワクチンが上陸する日は来るのだろうか。
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テレグラムに出没!闇ワクチン密売業者
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