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パチンコ業界事情 「北斗無双」など旧基準機設置延長が招くボッタクリ営業増加とホール倒産ラッシュ

21世紀会決議を見越して廃業を決めたホールも……

21世紀会「21世紀会決議」とは、業界団体として昨年5月の経過措置延長によって旧規則機を来年1月末まで設置できるようになったところ、「遊技業界一丸となって、計画的な入替を推進する」として今年11月末を撤去期限としたもの。これは射幸性が抑制された新規則機(パチンコのP機、パチスロの5号機)へ、行政が改めて定めた期限よりも先に入れ替えることで業界の健全性をアピールする目的もあったかと推測されるが、今回の一部改正によって1年延長された経過措置に合わせる形、つまり来年1月末までの先送りとなったのである。 「どこのホールも11月末の旧規則機撤去を見据えて動いていたと思うんですよ。だからいち早くその方向で動き、結果として廃業せざるを得なくなったのがこの店だと考えれば、ルールを守るのが馬鹿らしいというのが正直な気持ちです」(A店長)  そもそも業界団体が一度定めたルールを「厳しい営業が強いられる」からといって改正すること自体に疑問が残る。厳しい営業はコロナ禍以前からであり、その影響で行政が旧規則機の設置期限を1年延長したなら、最初からその通りにしておけばA店のように廃業に追い込まれることもなかっただろう。  今回の改正について「行政当局のご理解を」得られてとしているが、行政側が1年延長したのだから断る理由はないはず。それでも一旦決めたことを守れない業界だというイメージを与えたことは、今後の行政の動きにも影響を与えかねないだけに、悪手であるといわざるを得ない。

設置延長はファンにとってもホールにとってもマイナスか

 A店のように廃業に追い込まれるまでとはいかなくても、昨年の決議内容に従って残しておきたい機種を泣く泣く撤去したホールも少なくない。今回の改正には旧規則機の設置比率を段階的に引き下げていくという項目もあるが、都内の某ホール関係者はこのように語る。 「そんなものは守らないですよ。行政側に報告する必要はありますけど、あくまで報告だけで残していたからってどうなるものでもありませんから。なので自店では設置できるギリギリまで旧規則機を使っていくつもりです」  この関係者が語る言葉は、現在のホール関係者なら誰もが思うところである。ファンにとっては出玉面で魅力がある旧規則機、特にパチスロ5号機の設置期限が延長されたのは歓迎すべきことであるが、この一貫性のない業界団体の動きによって翻弄されたホール側は、ますます体力を削られていく。結果、出したくても出せないというファン側の不利益にもつながる可能性は高く、手放しで喜んではいられないだろう。  自由に競争できる環境を整えつつ、業界側のピンチにはしっかりとした方向性を示し足並みを揃えていく。これが業界を成長させることが目的である業界団体の姿であるとしたら、今回のような不公平で迷走しているともいえる施策は、いかがなものかというのが正直な感想だ。  コロナ禍で疲弊しているところに、延長されたとはいえ旧規則機から新規則機への大々的な入れ替えが待ち受けている業界の危機的な状況、このままでは残念ながらさらに悪化するとしかいえないのが現実である。 <文/キム・ラモーン>
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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