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「妻は愛しいが頭が悪い。救ってあげねば」モラハラ加害者の心理を当人が振り返る

「悪意のない加害者」向けのコミュニティを立ち上げ

 そうして生まれたのが、ハラスメント当事者が自己変容するための団体「GADHA」である。パワハラに関しては本業のコンサルで扱っているため、ここでは主にモラハラ夫と呼ばれる男性たちが対象だ。  GADHAは悩み相談、オンライン当事者会の開催、トレーニング等を目的とした「悪意のない加害者」向けのコミュニティだ。今年2月から本格的に活動を始め、これまでに総勢30人が参加したが「想像以上のスピードで人が集まり、ニーズを感じてはいる」という。  まず、参加者は一体どういう経緯でGADHAのホームページに辿りつくのだろうか? 「大きく2種類います。まずは妻と別居や離婚まで行きつき、ようやく自身でその原因について調べ始めた人ですね。  ネットの中には被害者の言葉はたくさん転がっていますが、加害者側の変化について書かれた情報はほとんどないですし、あったとしても加害者は変われないという記述が目立ちますから、GADHAは特徴的なんだと思います。私は人は変われると信じています。  あとはやはり妻やパートナーからGADHAの存在を教えてもらったという人も多くいらっしゃいます。共有したら『俺を病気扱いするのか』と怒鳴られたという方もいらっしゃいますが、少なくない人が関係を改善するためにできることをしようとコンタクトをくれます」

ホモソーシャルの中にある「女は雑に扱ったほうがかっこいい」という価値観

 GADHAの最大の特徴とも言えるのが「オンライン当事者会」。匿名、顔出しなしで加害者が5人ほど参加して話し合うパターンが多い。中にはパートナーと一緒に参加する人もいる。  だが参加者は当初、驚くことに若干の被害者意識も持ち合わせている場合がほとんどだ。自分は物理的な暴力をふるっていないから加害者ではないと主張する人、「(妻から)そんなことを言われたら責めてしまうのは仕方ないですよね?」などと傷の舐め合いをしてしまう人、「~してあげる」「やらせる」といった支配的な言葉づかいがクセになっている人などが多く見られるという。  加害者意識が希薄な原因は、ホモソーシャルの中に「女など多少、雑に扱うほうがカッコいい」「男なら妻はビシッとしつけてやらないと」といった風潮があるからだとえいなか氏は言う。
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