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中国版TikTokで280万人フォロワーの日本人女性「市場規模や収益性などスケール感が違う」

日本人のライバルが少ない抖音だが、始めるまでの障壁が高い

 このように、日本とは比べものにならないほどの収益が期待でき、一攫千金の夢も広がるわけだが、「個人で中途半端な気持ちでやっても絶対にうまくいかない」と石田さんは言及する。 「抖音は中国のサービスゆえ、使いこなすにはかなりハードルが高いというのが前提としてあります。言語の壁もそうですが、ダウンロードするにも中国版のApple IDを取得しなければならなかったりと、結構手間がかかる。  また、アカウントを開設できても中国の携帯番号を持っていないと、投げ銭やライブ配信といった機能を使うことができないんです。なので、抖音で稼ごうと思ったら私の運営するような事務所のサポートを受けるか、中国人のつてを使うほかないのが現状ですね」  一方、日本で流行しているTikTokについては「知名度を上げるには有用だが、収益源として考えるのは望ましくない」という。 「TikTokerだけではそれほど稼げないので、他のライブ配信アプリやYouTube、Instagramの導線に使うなど、うまく連動させるのがベストなやり方だと思います」  そんななか、まだまだ日本人のインフルエンサーが少ない抖音は、やはり魅力的なポテンシャルを秘めるブルーオーシャンとも呼べるだろう。  ただ前述したように、なかなか一般の人には手を出しづらいのが現状だ。

中国をまず知ろうとし、変に偏見や先入観を持たないこと

石田奈々 もし、本気で抖音のインフルエンサーを目指したいと考える場合、肝に命じてほしいことがあると石田さんは言う。 「私自身、抖音をやる前は正直、中国のことについて何も知りませんでした。ただ、今一緒にチームとして動いている中国人の方から得る情報というのは、ネットやメディアで報じられていることとはだいぶ異なっていたんです。  よく中国というだけで不信に思ったり、ネガティブな感情を抱いたりしがちですが、中国の実情を歪曲されて伝えられている部分もあると考えた方がいい。  抖音をやることで中国人の国民性や文化的側面にも触れていますが、まだまだ知らないことだらけですし、結局は国や人種、性別など関係なく、人との関係性や信頼関係が最も大事だと感じています。台湾や韓国に比べ、中国という国はある種“謎のベール”に包まれているからと、『知らない国だから否定的に捉える』のは違うと思います。単純に稼げるから抖音をやるのではなく、志高く持って取り組む気概が何より求められるでしょう」  石田さんが昨年立ち上げた会社では、プロダクション事業を通し、中国で活躍したい若年層を輩出していきたいそうだ。  最後に今後の展望について聞いた。 「芸能活動は実力主義なところがあるので、なかなか芽が出ずにくすぶっている人も多い。私もそのひとりでしたが、ひょんなきっかけでチャンスを掴んでここまで来れました。今こうして事業をやっているのも、本気で夢を叶えたい、活躍したいと思う人を少しでもサポートできたらと思って取り組んでいます。  でも、やるからには『怖いから、嫌だから、稼げないから辞める』のではなく、めげずに根性を持って向き合う気持ちが大切だと考えています。抖音を通して新たな才能を見出し、日本と中国の架け橋になれるようこれからも尽力したい」 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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