エンタメ

借金500万円男。宝塚記念を振り返り、少しだけセンチな気持ちになる

携帯の金を残して宝塚記念へ

 宝塚記念から2日経ち、6月も残り1日となった。僕は多重債務者なので月末に支払う返済額をそれぞれの口座に入金していく。月末までの支払いは3箇所で、それぞれ三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の口座への振り込みになる。  月末の競馬や博打をする時、余程熱くなっていない限りは「今月だけ乗り切れるかどうか」から逆算して金額を決める。借金をしていない人にとって、全然間に合っていないセーフティラインを設けるのは一見無駄に見えるだろうが、これは歯止めを効かせないと際限がない経験から導いた生存戦略の一つである。  例えば月末に7万円の家賃の支払いと1万円の携帯の支払いがあって所持金が5万円だった時、予算は4万円になる。 「家賃は守れなかったけど、せめて携帯だけは」という心理状態だ。  今回の僕にとってその金額は3万円だった。携帯の支払いまでは済ませられるだけの金を残し、宝塚記念に臨んだ。  Google Mapで上記3社のATMをそれぞれ検索する。経験上、三菱UFJ銀行のATMは繁華街の近く、みずほ銀行のATMは大きな車道の交差点の近く、三井住友銀行のATMは駅の近くにあることが多い。僕のメインバンクは三菱UFJ銀行なので最初は全てそこから払っていたが、消費税と振り込み手数料は気づかない間に上がってしまったらしく、10社に返済するために毎月3000円近い振り込み手数料がかかっていた。歩いて3000円も浮くなら流石に歩いて入金しに行ったほうがいい。

肺が縮む返済日

 返済日は肺が縮む。不安感で苦しくなるのではなく、何にも金を使っていないのに所持金がゴリゴリ減ってしまう虚しさに気が滅入る。裁判を経て毎月の支払いはかなり圧縮されたが、3000円や5000円の少額の返済金額に「もう二度と遅れてはならない」という見えないプレッシャーが乗っかっている。今の僕のペースでは完済に5年かかるらしい。積めども積めども、払えども払えども終わらない生活はまるで賽の河原だ。積んだ石を蹴りにくる鬼の代わりに、SNS上で匿名の社会が唾を吐きにくる。  5年後、僕は33歳になる。 ネットニュースを見ていると、フィリピンの大統領がワクチン接種を強く勧めているという記事が出た。一番好きだった思い出の国に行けるようになるのは意外とすぐかもしれない。 僕がカジノに行けるようになるまでどれくらいかかるだろうか。 5年の間に東京で出会った友達は結婚して子供ができたりするのだろう。 僕にとって、人生で一番好きだった趣味はカジノ旅行だったが、本当にそうだろうか? 人生を投げてカジノに行く自分、下調べが必要無い完全な運のゲーム。 「でも、負けちゃったんだからしょうがないよね」 いつかまたカジノに行った時、この言葉が自分の口から出ることが怖い。 文/犬
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
1
2
おすすめ記事