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ミスターラーメン「せたが屋」の社長が見据えるアフターコロナと新トレンド

早すぎても、遅すぎてもいけない。その見極めこそが大事

 前島さんは、ラーメン職人として独自性のあるラーメンを生み出し、世に広めたいという想いが強かったことで「どうしても色々とやってみたくなり、早く新しいラーメンを出したいという焦りにつながってしまった」と振り返る。 「今ではラーメンフリークに支持されている、野菜をポタージュ状にした『ベジポタラーメン』や味噌、塩、醤油などの調味料を使わない『ラーメンゼロ』などは、ブームになる前に私がお店で出していたんです。  しかし当時は、お客様にあまり受け入れられず、反応もいまいちだったので、現在では業態としては展開していません。自分で考案したユニークなラーメンを世に出そうと先走ってしまい、マーケティングや出店タイミングをないがしろにしたのが失敗した要因だと今では分析しています」

ラーメンのデリバリー需要はいずれ減少していく

 時代とともにラーメンのトレンドは移り変わる。昨年から続くコロナ禍ではライフスタイルや消費者の志向に変化などが生じている。ことラーメンに関してはどのようなものが注目されているのだろうか。 「いっときデリバリー対応の重要性から、混ぜそばが注目されていましたね。ラーメンらしさはないかもしれませんが、麺は伸びないし、スープも冷めないので、デリバリー需要にはマッチしていました。  ただ、私自身感じるのは『いずれラーメンのデリバリー需要は下火になる』ということ。注文してから届くラーメンは、だいたい1500円~1600円くらいと割高で、かつ作り立てではないので、鮮度も落ちる。さすがにお店よりも高い値段で、冷めたラーメンを食べるのはこの先なくなっていくのではと考えています。次第にお客様がお店へ戻ってくるのは、ごく自然の流れだと思っているので、デリバリーに関してはあまり注力はしていないですね。
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つけ麺、二郎系の次は?
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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