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コロナ禍で退去相次ぐ美大生向けアパート。大家がとったテコ入れ策は”壁画”

オンライン授業で退去続出

【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます  対面授業がなくなった大学を学生が損害賠償請求するなど、コロナ禍でキャンパスライフは大きく変わった。その変化の余波を受けているのが賃貸物件のオーナーだ。八王子市の多摩美術大学付近でアパート経営をする、はなぶん(ハンドルネーム)氏はコロナによる影響をこう語る。 「1度目の緊急事態宣言以降、4室ほど退去が発生しました。退去理由を聞くとやはり地方から上京した子がオンライン授業に移行したことで実家に戻る選択をしていたんです」 物件の前面道路は大学へ向かう通学路となっているが、以前と比べると通る学生の姿もまばらな状況だ。そこではなぶん氏は一計を案じることに。 「美大生を応援する意味で外壁にウォールペイントを実施することにしました。当初は学生から公募でデザインを募集するコンテスト形式のイベントを考えましたが、人が集まっての作業は企画しづらく断念。その時にInstagramで見つけたあるクリエイターの作品に感動して、DMでお願いしてみました」

壁画制作前の状態。よくある賃貸物件といった佇まいだ

壁画家が語る、コロナ禍のアーティスト活動

 はなぶん氏の依頼を快諾したのが壁画家のKensuke Takahashi氏(以下、高橋氏)だ。独学で絵画を学び、トラックドライバーから転身したという異色の経歴の持ち主。ミューラルアート(壁画)の分野で高く評価されており、行政の庁舎の壁画なども手掛けている。そんな高橋氏もまた、コロナでアーティスト活動に制限を受けたという。

壁画家・高橋氏の作業風景

「コロナ前は1枚の絵を4時間で仕上げる『ライブペイント』を飲食店でやる機会があったのですが、舞台となる飲食店が休業状態で仕事は減りました。イベントでコラボすることが多かったDJやミュージシャンたちも大変な状況です。極めつけは海外のミューラルフェスに呼ばれていたのがコロナで白紙に。悲願の海外進出だったのですが……。持続化給付金や芸術文化支援金はとても助かりました」

以前、高橋氏が手掛けた壁画のひとつ

所有者の許可のもと描かれた壁画をミューラル、無許可で描かれたものをグラフィティと区別することが多い

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屋外で黙々と作業するため感染リスクが低い
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