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コロナ禍で退去相次ぐ美大生向けアパート。大家がとったテコ入れ策は”壁画”

屋外で黙々と作業するため感染リスクが低い

アパートに壁画のラフイメージ。独自の色彩感覚で世界観を表現する

 仕事が激減する中で残ったのが壁画だったという。 「屋外で黙々と作業するので感染リスクがありません。今は美術館にも気軽に行けない時代なので、散歩がてら誰でも気軽にアートに触れられる壁画の存在は貴重だと思っています」  今回の制作にあたってコンセプトをこう説明する。 「様々な地域から出てきた一人暮らしの学生への応援と刺激になればと考え、地図を広げ見つめる少女と、進むべき方向を見つめるトラがメインにくる構図にしました。若い頃は色々と悩んだり迷ったりしがちですが、『それでも進むことが大事だよ』というメッセージを込めて描きました」

壁画ならではの魅力は「人との交流」

人の流れを変え、場所や建物に新たな価値を生み出す力が壁画にはあると高橋氏は語る

 高橋氏は「制作過程が衆人に公開される壁画ならではの魅力がある」と口にする。 「ミューラルアートは依頼者の物であると同時に、みんなのものでもあると思ってます。今回、美大の通学路ということで、足を止めて見学する学生や、バイクから降りて見入る人がいたり、差し入れを頂いたりもしました。道行く人から『ここにアートを残してくれてありがとう』と感謝されるのも壁画ならでは。アトリエに籠もっていたらできない経験です。その地域に住むクリエイターと思わぬ交流が生まれたりするので、やっていてとても楽しいですね」  制作日数10日をかけて完成した壁画の完成度に、依頼者のはなぶん氏も満足気だ。 「美大は実習も多いのでコロナが終われば学生も戻ってくるでしょう。そのときに地域のアイコン的な建物となってくれたらと思ってます。漫画家の聖地”トキワ荘”のように、入居者の学生から世界に羽ばたくクリエイターが誕生したら嬉しいですね。今回素晴らしいウォールアートを施してくれた高橋氏が、今後海外でも活躍できるよう応援していきたいです」
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若い人は芸術家になる夢を諦めないで欲しい
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