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アインシュタイン・稲田&ほんこんは「ぶさいく」をどう武器にしたのか

授業では武器の使い方を教える

 NSCの講師になって32年目になりますが、昔は「いじめに見えるようではいけないけれど、身体的特徴は“武器”なので大いに利用するように」と例外なく授業で伝えていました。  しかし、ここ数年は「自分たちで“枠”を作らないで好きなようにしいや」とリミッターなくネタを作るように伝えるのは昔から変わりませんが、ネタ見せの際には「今の言い方はきつすぎる、違うワードを探した方がええと思う」とあくまで私の感覚ですがハードルを下げてアドバイスをするように心がけています。  身体的特徴は現在でも“武器”には違いありませんが、おかしな炎上をしてしまったらそこで芸人として終わってしまうようなこともあるでしょうから、無限大の可能性を意志半ばで潰されることがないように年々慎重になってきています。  ちなみに容姿に関係なく「死ね」「殺す」という言葉は他の表現に言い換えるように昔から伝えています。

容姿いじりがダメなら台本のクオリティを上げる

 それでも「むずかしい時代になった」というのがネガティブなことだけではなく、演者さんはもちろん作家にとっても「見た目」「ビジュアル」だけをネタにしていては通用しないのでよりクオリティの高いネタ、台本を考えるいい機会だととらえて進化した「笑い」を作ってほしいと願っていますし、私自身現役の漫才作家としてそうありたいと思っています。 文/本多正識
漫才作家。'84年、オール阪神・巨人の台本執筆を皮切りに、漫才師や吉本新喜劇に多数の台本を提供。'90年吉本総合芸能学院(NSC)講師就任。担当した生徒は1万人を超える。著書に『吉本芸人に学ぶ生き残る力』(扶桑社刊)などがある

吉本芸人に学ぶ生き残る力

NSC講師として1万人以上の生徒を送り出した伝説の講師が教え子たちに教えた生き抜く術とは

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