更新日:2021年12月23日 08:08
ライフ

歌舞伎町で起こった「連続自殺事件」。背景には“数字”に依存する若者たちの姿が

価値の喪失=自分自身の死、存在意義の喪失

 わかりやすい数字で結果を出せば出すほど称賛を得られる、この世界。承認欲求が簡単に数字で満たされる半面、下降したときはその数字に依存していた分だけ重い負荷がのしかかる。自分自身の価値をそうした数値に限定しているからこそ、価値の喪失=自分自身の死、存在意義の喪失につながるのではなかろうか。  衣食住に困らないこの世界で、存在価値を見いだしてくれるものを、場所や他人に依存するのはなにも歌舞伎町だけではない。SNSもその1つだ。  Twitterのアカウント名が本名を凌駕したり、TikTokでの愛称が有名になることは近年多々存在する。SNSのフォロワー数、いいね数で自分の価値が左右されたような気になる。本名で運用していないアカウントが叩かれたときに、居場所がないように感じる。SNS上で目立ちたいから、過激な行動をする。それこそ自傷行為、自殺がそうだ。  ネットや歌舞伎町という非現実な世界で生きがいを求め、存在価値を感じることが難しくなったとき、非現実さ故に命は軽くなっているのかもしれない……。  この夏も、歌舞伎町は死に場所として選ばれ続けているだろう。 “トー横”界隈では、また事件が起こることも予想される。この「新宿東宝ビル」(旧コマ劇場)の東側横の路地でたむろする、若者の集団について、次週詳しく明かしていく。

「ぴえん世代」新語辞典

・ホス狂 ホストクラブを非日常の息抜きで楽しむつもりが、気がついたら日常になって過呼吸に陥っている人たち。稼いだお金の大半をホストに貢いでいる。なお、「ホストクラブでお金を使う自分が好き」なホス狂と、「担当ホストただ一人を応援したい」担当狂と種類は細分化されている。読み方は「ほすぐるい」もしくは「ほすきょう」。100万円使ってからがホス狂、らしい。 ・#数時間後に死ぬカップル あくまで件の動画につけられていたハッシュタグは「#歌舞伎」であり、タイトルが「数時間後に死ぬカップル」だったわけだが、「#好きで好きでしかたなかった」など、何かとハッシュタグが好きなぴえん世代。「100日後に死ぬワニ」からのオマージュで「100日後に別れるカップル」「100日後に死ぬ自撮り界隈」など時間設定型の作品が多く誕生した。 【女子大生ライター・コラムニスト・佐々木チワワ】 現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki 写真/tsubasa_works12
現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認

21歳・現役女子大生ライターが送る、衝撃のデビュー作!

1
2
3
おすすめ記事