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お別れがたったの10分!?  流行りの「ネット葬儀社」の注意点を専門家が解説

「ご遺体を預かります」と連れていかれて……

 最近は、在宅で最期を迎える方が増えています。  ガンを患っていた元公務員の80歳代男性。最期は家で看取りたいとのご家族の強い思いで、病院から在宅治療に。家族思いの方で、その最期に相応しく、2か月間、ご家族に囲まれ、人生を思い返しながら穏やかに亡くなられました。  そこまで丁寧に看取ったのに、ご遺族が介護疲れで燃え尽きていたので、よくわからないまま「ネット葬儀社」に申し込みました。  するとその葬儀社から「ご遺体を預かります」と言われ、故人は連れていかれました。なぜなら申し込んだのが安価な「ネット葬儀社」の一番シンプルなプランだったからです。葬儀社は一か所に遺体を集めたほうが管理しやすく、コストを抑えることができます。自宅での安置だと、ご遺体の傷みを防ぐために、定期的なドライアイス交換などのコストがかかるのです。どうして安い値段でできるのか、普通の人は知りませんよね。  せっかく自宅で看取り、今からゆっくりご遺体のそばで看病疲れを癒やせるというところで、その機会が奪われてしまったのです。

お別れの時間は10分だけ?

 結局、故人と再会できたのは火葬場で10分間だけでした。  しかも火葬の最中に葬儀社は、クレジットカードで決済を済ませ「では失礼します」と帰ってしまったそうです。なんだか寂しいですよね。これでは何のために在宅で看取ったのか、わかりません。  最近は、コロナ禍でご遺体と対面できなかったという悩みもよく耳にします。どれだけ一緒にいても、やはりお亡くなりになられてから火葬されるまでの間は、特別な時間なのです。せっかく丁寧に看取ったのであれば、おみおくりから供養まで丁寧に歩んでいきたいと思いませんか。  こういったお葬式の失敗事例は、遺族側が「ネット葬儀」について、よく知らなかったことが原因ですが、そもそも「何のためにお葬式をするのか」という本質を見誤っていたことも大きくかかわっています。そうならないためにも普段からお葬式について考え、どのようなお葬式にしたいか周りと話し合っておくことが大切です。 *本稿は『日本一笑顔になれるお葬式 大切な人が亡くなる前に知っておきたい葬儀の本当のハナシ』を一部抜粋、再構成したものです。
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日本一笑顔になれるお葬式

街の葬儀屋さんが教える「心がスーッと楽になる」お葬式の作り方

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