更新日:2021年09月06日 16:43
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「あれで死刑なら…」工藤会・野村被告の死刑判決をヤクザ業界はどう見たか

ヤクザが指摘する判決の危うさ

 では、今回の死刑判決をヤクザ界隈はどう見ているのだろうか。前出の元組長はその危険性を指摘する。 「カタギの人からすれば、悪いヤクザを死刑にできて平和が来るって思うかもしんないけど、この理屈が通るんなら、誰でも逮捕できるからね。『指示できる上位者は両被告が想定される』って裁判で言ってるけど、『証拠』じゃなくて『想定』で死刑にしちまうなんて理屈が通るんなら『政治家の秘書が勝手にやった』は通用しないよな」  確かに捜査手法に対する危険性を指摘する声は聞かれる。だが、それをもってしても市民にとってヤクザのない世界が求められているということではないだろうか。

同情するヤクザたち

 また、前出のヤクザ雑誌記者も業界の慌て振りについて話してくれた。 「まさか死刑判決となるとは思っていなかったので、ヤクザの方々はビックリしたというより、同情してましたね。『これでオレらはなんでも死刑、無期にやられるな』なんて声も聞かれました。ある関東の組長は『いろんなヤツに掌返されてさ、野村は気の毒だよ』ってボヤいていたのが印象的でした。  私たちのヤクザ雑誌業界も実のところ死刑判決までは想定していなかったんです。大半のヤクザ雑誌のメインネタは山口組なんですが、急遽工藤会ネタに差し替えるべく、判決からこっち、我々もバタバタです」  野村被告は判決を不服として控訴した。直接的な証拠はなくとも組内での絶対的地位を根拠にトップの責任を問い、極刑に処した今回の判決を賞賛する声がある一方、推論と推認を重ねる手法についての危険性を指摘する声があり、高裁では地裁の判決がひっくり返るのでは……とも法律関係者の間では噂されている。工藤会関連の裁判はまだまだひと波乱ありそうだ。 取材・文/日刊SPA!編集部
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