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「あれで死刑なら…」工藤会・野村被告の死刑判決をヤクザ業界はどう見たか

日本で最も凶暴と言われる工藤会とはどんな組織なのか

ヤクザ

写真はイメージです

 福岡の指定暴力団、工藤会総裁の野村悟被告に8月24日、福岡地裁は死刑判決を下した。野村被告は元漁協組合組長射殺事件など、4件の市民襲撃事件の首謀者とされ、組織犯罪処罰法違反の罪に問われていた。  今回の死刑判決で注目が集まったのは、工藤会の凶暴性だろう。元山口組系の暴力団で組長を務めた男性は「工藤会は常軌を逸している」と語る。 「暴対法でがんじがらめ。カタギに名刺を切っただけでパクられるご時世にさ、いくら関係があって揉めたとは言え相手はカタギだよ。銃をブッ放して手榴弾投げ込むなんて、正気の沙汰じゃない。常軌を逸しているよ。  何年か前に工藤会がガサ入れされた時にさ、拳銃だけじゃなくてロケットランチャーや手榴弾が出てきたってニュースになったんだけど、バズーカ持ってるヤクザなんてあの時、初めて聞いた。  私が現役だった頃は工藤会とは事を構えたくないと思ったほど。今どきドンパチなんてやろうもんなら、すぐにパクられるけど、あいつらイケイケなんだよ。完全に昔のヤクザ映画の世界なんだから(苦笑)」

対山口組への強硬姿勢と負の安全弁

 元組長によれば、山口組に対する強硬な姿勢も工藤会の特徴だという。 「四社会と呼ばれる九州地方のヤクザの親睦団体があって、これは反山口組で結束している。九州はこの四社会、それも工藤会があったから山口組はなかなか勢力を伸ばせなかった。  それと工藤会と言えば中国人の犯罪グループに対しても厳しかったね。工藤会がいたから中国人犯罪グループが九州でのさばることはなかったとも言われるくらい」  あるヤクザ雑誌記者は工藤会の存在を「負の安全弁」と表現する。「決して工藤会の存在を良しとするわけではない」と前置きして、こう語ってくれた。 「夜の街から建設、土木など、福岡ではあらゆる場面で工藤会が関係していたと言われている。要するに工藤会と福岡県の表社会はズブズブだったわけです。もちろんそれは警察も含めて。工藤会とベッタリの警官も多かったのは事実。  警察に言えないようなトラブルが何か起きれば、工藤会が介入して手打ちにする。揉めてまとまらない話をまとめてくれる。まぁ、負の安全弁的な存在だったとでも言いましょうか……。  こうした状況に業を煮やした結果、福岡は全国で初めてとなる暴排条例を施行し、工藤会と縁を切ろうと躍起になったワケです。しかし、これまでズブズブだったのに『条例できたんでこれからは関係なしで』なんてキレイサッパリいくかといえば、人の思いはそう簡単に割り切れるもんじゃないです。  昨日までは仲良く酒飲んで、じゃああの件もよろしく!なんて言ってた人が『これからはもう無関係ですから』なんて言ってきたら、『なんだテメェは昨日までは!』ってなるのも無理はない」  このヤクザ雑誌記者は「工藤会が暴排条例施行で凶暴化したのは、感情的な部分が大きかったんじゃないか」と推察する。
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野村被告に同情するヤクザ
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