更新日:2021年09月08日 17:30
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「スマホで撮れば盗撮じゃない」盗撮犯のあきれた妄想を、専門家が解説する

スカートをはいているから盗撮OKという呆れた言い分

(4)スカートをはいているということは、盗撮されてもOKということだ。 (5)下着が見えそうな服装の人は、心の中では盗撮されたいと思っている。 「スカートをはいていたから」「露出の多い格好をしていたから」など、相手の服装に落ち度があるという理由を挙げるのも認知の歪みの特徴です。被害者はたまたまその服やスカートをはいていただけ、駅構内を歩いていただけ、エスカレーターや階段を使っていただけです。まったく何の落ち度もありません。しかし、彼らの歪んだ認知の世界では、このたまたま居合わせた偶然が「盗撮をしていい理由」になります。盗撮加害者が見ている世界と被害者が生きる現実は、まったく別ものなのです。

「盗撮されたがっている女性」という妄想

斉藤章佳

『盗撮をやめられない男たち』の著者、斉藤章佳氏は大船榎本クリニックで性犯罪加害者の治療にあたっている 撮影/尾藤能暢

 こういった認知の歪みによって、「自分は悪くない」(誘ったのは相手だから)とばかりに自分の加害行為を免責しています。彼らは、明らかにバレるだろうという場所や手口でも、盗撮するのに何の迷いもありません。 (6)こちらをチラチラ見ている女性は、もしかしたら私に盗撮されたいと思っているのではないか。 (7)和式のトイレを選んでいるということは盗撮されたい人に違いない。 (8)相手からわざわざ近づいてきたのだから盗撮してもいいだろう。  また、6のように「相手がきっかけを作った」「相手から誘ってきた」などと自分の都合のいい解釈をする認知の歪みは、盗撮加害者だけでなく痴漢やレイプ犯、小児性犯罪者にも見られます。
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スマホは盗撮じゃない!?
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精神保健福祉士・社会福祉士。大船榎本クリニック精神保健福祉部長。1979年生まれ。大学卒業後、榎本クリニックでソーシャルワーカーとして、アルコール依存症をはじめギャンブル・薬物・性犯罪・DV・窃盗症などの依存症問題に携わる。専門は加害者臨床で、2000人以上の性犯罪者の治療に関わる。著書に『男が痴漢になる理由』『万引き依存症』『盗撮をやめられない男たち』など多数

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