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映画主演のリリー・フランキー、俳優業20年でも「職業プロとしてやってない」

俳優としてはプロじゃないけど、観客のプロではある

カレーライス

(C) 2021『その日、カレーライスができるまで』製作委員会

――俳優としてのお仕事は、吟味して選んでいるのでしょうか。 リリー:当然やれないもののほうが多いですよね。感覚的にも物理的にも。職業プロとしてやってないからいいんじゃないですかね。「最近映画の仕事がないから、これつまらなそうだけど、やらなきゃ」みたいなことがないから。たくさん出てるように言われたりしますが、年に6本出てても7本出てても、1シーンしか出ていないものも2ヶ月半かけてやったものも同じ1本に数えられるので、実際に俺がお芝居してる時間ってのは、年に10分の1くらいしかないんです。 ――ご自身の出ている映画やシーンを観て感動することもありますか? リリー:ありますよ。俺は今でも99%観客側で、自分が出てることはプロだと思ってないけど、映画を観る観客としてはプロだと思ってる。役者さんはまず自分のお芝居をチェックするとか言いますけど、俺はまったくそんなのなくて、純粋に映画として観てるから、自分が出ているシーンで泣くこともあります。別に俺の芝居がどうこうじゃなくて、映画としていいからだと思います。

人と一緒にやると100点以上になることも

カレーライス

(C) 2021『その日、カレーライスができるまで』製作委員会

――ご自身が向いている職業ってなんだと思います? リリー:表に出ない仕事でしょうね。家でひとりでやる仕事。今こうやって外に出て、映画に出させてもらったり、ラジオやテレビでMCをしたりしてますが、ひとりだと世界も視野も狭くなるので、ちょっと留学させてもらっている感じがすごくあります。いろんなモノ作りを教わって。外に出る仕事をやればやるほど、原稿を書くのがめんどくさくなっていくんだけど。 ――(笑)。それでも外に出た方が自分のためだと感じる? リリー:自分ひとりでやるときは最高で100点ですけど、人とやると120点とか200点とかありますからね。自分が想像していたものよりもこんないいものになったと。20代、30代のときは、雑誌もたくさんあったので、家でひとりでやる仕事がほとんどで、どうかと思うくらいの数の連載を書いてました。だから余計に外に行くと楽しいですよね。撮影とか行くと、「わー、人がいっぱいいる」ってそれだけでも。
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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【公開情報】
その日、カレーライスができるまで』は全国順次公開中
(C) 2021『その日、カレーライスができるまで』製作委員会
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