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映画主演のリリー・フランキー、俳優業20年でも「職業プロとしてやってない」

「好きを仕事にしたい」と言う人へ

リリー・フランキー――読者にメッセージをお願いしたいのですが、好きを仕事にしたいと思いつつ、頑張れていない後輩世代に声をかけるとしたら? リリー:好きを仕事にするってのはいいことですよ、“好きこそ物の上手なれ”とか昔から言いますしね。でも勘違いしてるなと思う人もいるんですよね。遊びを仕事にしようとしている人がいる。それは難しいと思います。仕事の中で遊ぶのと、ただの遊びを仕事にするのは意味も立場も違う。 ――好きと遊びをごっちゃにしている? リリー:そこはちゃんぽんしないほうがいいかなと。平成時代によくいましたけど「楽しく遊んでるみたいに仕事している人が好きです」とかって。俺、絶対にそんな人と仕事したくないです。好きなことであろうが、遊びであろうが、仕事になって水準の高いものを求められたら絶対に苦しいですから。楽しくやってるんだったら、もうちょっと頑張れるってことだと思いますけどね。

「ぬるく」と言いつつ、結局なにかをやっている

――一方で、本当はぬるく生きたいのに、なんかあくせく働いちゃってるな~という人には。 リリー:それ、俺です(笑)。俺、めちゃくちゃ怠け者なので。仕事がなかったら、本当にずっとただ寝てます。本当はぬるくしてたいのに、友達に誘われて自主映画やるんだと言われて、今日もこうやってプロモーションに駆り出されて。なんでなんだろうとずっと思ってます。映画を作ったからプロモーションしないとってのも、考え直さないといけないと思いますよ。たぶんこの映画はプロモ―ションをやってもやらなくても人は入らないんだから。もうちょっと諦めることで、もうちょっとぬるさを大切にしていこうじゃないかと。 ――でもリリーさんはぬるく生きられてないんですよね。 リリー:そうなんですよ……。思いがけず忙しくなってしまっているという。今までもゆっくりやってるほうだとは思いますけど、これからはもっとゆっくりしたいです。寝ていたいです。若いころは貧乏性だったんでしょうね。毎日書き散らかしたり、考え散らかしたり。  仕事をするために九州から東京へ出て来たと思ってるし、何かしていて当たり前だと、していないといけないと思っていた。でものんびりしたいですね。ただ、同じこと言ってるような友達が周りにいっぱいいるんですけど、実際にのんびりしてるヤツはひとりもいないんですけどね。貧乏性って治らないんでしょうね。仕事にならなくても、だれが見なくても、結局みんな何かやってますからね。本当にのんびりしてる人は、東京では単にヒマな人。
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還暦の誕生日は…
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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