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パ・リーグまさかの番狂わせ。ロッテとオリックスはなぜ強いのかを分析してみた

吉井投手コーチの光るマネジメント力

 また、キビタ氏は“吉井理人投手コーチのマネジメント”もロッテの強さの理由だと語る。 「特筆すべきはリリーフ陣。ここぞというところ以外は、無理をさせていません。クローザーの益田直也が春先は不調で試合を壊したこともありましたが、これまでの実績を尊重し、決してプライドを壊すことなく調整させて、再び好調な状態に持っていった手腕は見事。  期待の若手・佐々木朗希についても、周りから何を言われようとも独自の長期育成路線を貫いている。それが、徐々に1軍での好成績につながってきているからさすがです。  先発投手陣は、石川と二木、美馬がエース格ですが、現状で他チームにいる山本由伸(オリックス)や千賀滉大(ソフトバンク)のようなスーパーエース的な別格感はありません。しかし、エース格に続く小島、岩下、ルーキー・鈴木なども内容が良く、少数精鋭ながら安定したローテーションを維持している。このあたりも吉井コーチによる手腕でしょう」  確かに、チームで最も勝ち星を挙げているのは若手右腕の岩下と中継ぎ・佐々木千隼の8勝と首位に立つチームにしては少なめ。絶対的エースがいないなかで投手陣をうまく起用できていることが分かる。

ロッテの強さの原動力は「雨慣れ」!?

 さらに、キビタ氏は、独自の見解でロッテ野球を分析する。 「この夏は降雨が多く、屋外のZOZOマリンスタジアムを本拠地とするロッテは、雨の中でも試合をすることが多かった。全面人工芝という環境もあってか、中程度の降り方であれば当然のように試合を強行していました。  特に、8月は試合当日の午前中に雨が降っていて“今日は試合があるのか?”という雰囲気のなかで開催されることが多々ありました。普段、ドーム球場を本拠地としているチームと比べれば、当然、コンディショニングやメンタルの調整についても、“雨慣れ”していたのではないかと。  千葉県千葉気象台の天候データと照らし合わせる形で独自に調べたところ、7月~9月のZOZOマリンスタジアムでの開催で、試合日の午前中に雨が降っていたときの試合でのロッテは、7勝5敗で勝率.583。“激的に強い”というわけではないですが、9月15日時点での勝率.574を上回っており、雨の不安がよぎる日の試合でも安定した勝率を維持できているところが、ロッテの意外な躍進なのでは?」  真夏の長雨に泣かされた今年の夏。屋外の本拠地を持つチームの利点を生かして、ロッテはジワジワと勝ち上がってきたようだ。
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オリックスはなぜ強い?
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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